コウラン伝1話のあらすじ
目次
あらすじ
貴族の娘、李皓鑭(りこうらん)は大きな馬車に乗りお忍びで蛟王子(こうおうじ)の屋敷に向かっていました。侍女の燕雲(えいうん)は早く戻らないといけないと心配しました。
過去の場面(自宅)。
異母妹の李岫玉(りしゅうぎょく)は義姉の李皓鑭(りこうらん)に虞平(ぐへい)と皓鑭(りこうらん)との縁談が決まったことを知らせました。
虞平(ぐへい)は二人の夫人に先立たれ、後妻を求めていました。
李皓鑭(りこうらん)の父、李赫(りかく)は何度も虞平(ぐへい)の求婚を断って来ましたが目上の虞平(ぐへい)の頼みを断り切れなかったのです。
李岫玉(りしゅうぎょく)は蛟王子(こうおうじ)なら策を授けてくれると言いました。
皓鑭(こうらん)はさっそく巳の刻(みのこく)に湖のほとりで会いたいという手紙をしたため義妹に預けました。
夜の湖。
「公子。」
李皓鑭(りこうらん)は桟橋(さんばし)の上にいる人影に向かって話しかけました。
すると振り返ったのは継母(ままはは)の高敏(こうびん)でした。
「こんな夜更けにあいびきをするなど恥を知りなさい!」
高敏(こうびん)は冷たく皓鑭(こうらん)に言いました。
「お継母様。虞平(ぐへい)様は妃を虐げるとの噂です。先の夫人もそのせいで亡くなられたとか。そのようなところに嫁ぐと家の名に傷が付きます。それに私は蛟王子(こうおうじ)に嫁ぐ約束をしています。」
皓鑭(こうらん)は言いました。
「今夜駆け落ちをするつもりだったのね。家門に傷がつくわ。」
高敏(こうびん)は意地悪く言いました。
「王様も認めて下さった縁談です。駆け落ちをするつもりなどありません。」
皓鑭(こうらん)は言いました。
「しらじらしいわ。これは動かぬ証拠よ。」
高敏(こうびん)は義妹に預けたはずの手紙を床に叩きつけました。
高敏(こうびん)は私兵を呼び寄せました。私兵は燕雲(えいうん)を叩いて気を失わせ、皓鑭(こうらん)を捕まえました。
「母親にそっくりね。すぐに投げ捨てなさい。」
高敏(こうびん)は私兵に命じました。
皓鑭(こうらん)は湖に捨てられました。
その様子をみすぼらしい姿をした漁師が見ていました。漁師は皓鑭(こうらん)を助け出しました。
ある日。
李皓鑭(りこうらん)は旅装束の姿で実家の前まで来ていました。
漁師は今日は娘の婚礼の日なので客にまぎれて忍び込めると説明しました。
皓鑭(こうらん)は誰が手紙のことを継母に漏らしたのか知りたいと思っていました。皓鑭(こうらん)は手伝いの振りをしながら屋敷に忍び込みました。
下男は上司から側室を逃がしてしまったことに頬を叩かれました。部下の下男は側室だから手荒なことはできなかったと釈明しました。
「お母さま!」
二人の話を聞いた李皓鑭(りこうらん)は母のことが心配になりました。
実家の宴会場の門。
李赫(りかく)は愛想よく客人を宴会場に案内していました。脇に立っていた高敏(こうびん)は召使の林氏から大変なことを知らされました。高敏(こうびん)は夫に少し奥に行ってくると言ってその場から離れました。
実家の一角。
李皓鑭(りこうらん)の母、王婉児(おうえんじ)は下男たちに口を手で覆われたままどこかに連れて行かれようとしていました。そこに高敏(こうびん)と林氏が現れました。
王婉児(おうえんじ)は高敏(こうびん)の衣の裾(すそ)にしがみついて娘の行方を尋ねました。
高敏(こうびん)は皓鑭(こうらん)は蛟王子(こうおうじ)と駆け落ちしようとして姿を消したと答えました。
王婉児(おうえんじ)は来世では娘を牛のように働かせるのでどうか行方を教えて欲しいと懇願しました。
高敏(こうびん)は皓鑭(こうらん)は牛(奴隷)になっても役に立ちそうにないと笑いました。
「どうしても会いたいというなら会わせてあげるわ。今日は岫玉(しゅうぎょく)の婚礼の日。邪魔されたくないわ。連れて行きなさい。」
高敏(こうびん)は下男たちに王婉児(おうえんじ)を殺すよう暗に指示しました。
井戸。
王婉児(おうえんじ)は二人の下男に井戸の中へ突き落とされました。
李皓鑭(りこうらん)が駆け付けるも既に手遅れでした。
「お母さまーーーーーっ!」
皓鑭(こうらん)は絶叫しました。
「しぶといわね。まだ生きていたとは。」
高敏(こうびん)が現れました。
「高敏(こうびん)。よくもお母さまを殺したわね!」
皓鑭(こうらん)は言いました。
「お前が悪いのよ。」
高敏(こうびん)は冷たく言いました。
「赦せない。お父さまに言いつけてやる!」
皓鑭(こうらん)は怒りました。
高敏(こうびん)は下男に皓鑭(こうらん)を取り押さえさせました。
「分かってないわね。お前の父は黙認しているの。話しても無駄よ。お前は駆け落ちして虞平(ぐへい)様にも断られた。仕方ないわね。次の住処(すみか)を探してあげる。」
高敏(こうびん)は下男に皓鑭(こうらん)を連行させました。
皓鑭(こうらん)は下男に婚礼を見せつけられました。
李岫玉(りしゅうぎょく)との結婚相手が蛟王子(こうおうじ)であることがわかりました。二人は微笑みながら赤い布を手に持っていました。
夜の花街。
黒装束の剣客が屋根の上を伝って逃げていました。
武官は兵士を引き連れ長官を殺した犯人を追いかけていました。
刺客はまるで空を舞うかのように妓楼に逃げ込みました。
妓楼。
呂不韋(りょふい)はまさに肌身もあらわな女を抱いているところでした。そこに武官が現れ不審な者が来たか尋ねました。武官は呂不韋(りょふい)を怪しみました。女将は呂不韋(りょふい)のことを衛(えい)の国の偉大な商人で怪しい人ではないと説明しました。
呂不韋(りょふい)に抱かれていた女は武官に向かい、上司の贔屓(ひいき)を受けていると言いました。
武官は今夜のことは秘密にして欲しいと言って帰りました。
妓女は呂不韋(りょふい)に褒美をねだりました。
呂不韋(りょふい)は女に金を渡して帰りました。
寝台の裏には裸にされた刺客が縛られていました。
日中の都。
徒歩で歩いていた貴族の男は呂不韋(りょふい)が馬二頭に車を引かせた豪華な車に乗っていて自分よりも金持ちであることに嫉妬しました。
呂不韋(りょふい)は毎日市場に来ての品物をごっそり買って行くことで有名でした。
競り会場。
人魚の涙という宝物(琥珀の玉)とその入れ物が競りにかけられました。男たちは皆まばゆく光る琥珀の玉にほれ込みました。
呂不韋(りょふい)の部下、司徒缺(しとけつ)は1000金、馬20頭、錦200単(たん)で入札しました。
「この珠は結構だ。この箱だけ頂こう。」
呂不韋(りょふい)は金魚の玉を確かめると箱だけを貰いました。
男たちは珠(たま)ではなく箱だけを手に入れた呂不韋(りょふい)を不思議に思いました。
すると、遣いの者が現れ呂不韋(りょふい)を主人のもとへ案内しました。
「何故珍しい珠ではなく箱だけ買い求めたのだ。」
丞相は呂不韋(りょふい)に尋ねました。
「美しい珠は伝説があって初めて宝物になります。私が見たところ、これはただの珠にございます。」
呂不韋(りょふい)は答えました。
「ではその箱は特別なものなのか?」
丞相は尋ねました。
「おっしゃる通りです。箱の材料は木蓮ではなく良い香りがする黄花蓮(おうかれん)です。黄花蓮の木は切ることが難しい崖に生えます。とても貴重で高値がつくのです。それに私が心に叶う物にはいくらでも払います。」
呂不韋(りょふい)は答えました。
競りの司会者は呂不韋(りょふい)に珠も持って帰るようにすすめました。
呂不韋(りょふい)はいらないと言って断りました。
司徒缺(しとけつ)は珠を持ち帰り灯明がわりにすればどうかと言いました。
男たちは笑いました。
呂不韋(りょふい)は皆に箱を見に来るように言いました。
丞相はこの件で噂が広まり呂不韋(りょふい)の名が世の中に知られることになるので呂不韋(りょふい)の有能さを認めました。丞相は呂不韋(りょふい)に後で屋敷に来るように誘いました。
呂不韋(りょふい)たちは丞相に礼を尽くして見送りました。
次に玉のような娘たちが競りにかけられました。十名ほどの娘たちが縄で縛られたまま連れて来られました。その中には李皓鑭(りこうらん)もいました。
呂不韋(りょふい)は李皓鑭(りこうらん)を指して200金で買うと言いました。
競りを司会している男は李皓鑭(りこうらん)は斉(せい)の国に売られるところを馬車から転落して顔に傷がついたので買い手がつかずここに回って来たと言いました。
呂不韋(りょふい)は李皓鑭(りこうらん)を落札しました。司徒缺(しとけつ)はさらに100金を上乗せして娘を買ったことを口止めさせました。
呂不韋(りょふい)は李皓鑭(りこうらん)に話しかけました。呂不韋(りょふい)は小箱を高く買って珠を返したことで丞相らとの繋がりができたと自慢しました。そして美しく聡明なおなごが手に入ったことに満足しました。
呂不韋(りょふい)は李皓鑭(りこうらん)の泥を拭いました。すると皓鑭(こうらん)の真っ白な玉の肌があらわになりました。
呂不韋(りょふい)は侍女に李皓鑭(りこうらん)を着替えさせるように命じ、司徒缺(しとけつ)に素性を調べるよう命じました。
数日後。
司徒缺(しとけつ)は李皓鑭(りこうらん)の素性を調べたと呂不韋(りょふい)に報告しました。
李皓鑭(りこうらん)は食事を断っていました。
呂不韋(りょふい)は「容易に死なれては困る」と言って李皓鑭(りこうらん)に無理やり饅頭を食べさせようとしました。
李皓鑭(りこうらん)は激しく抵抗しました。
「李皓鑭(りこうらん)。何が気に入らぬ。お前の心の火はまだ消えていない。食を断ち死のうとしている理由は何だ。私に何もかも打ち明けろ。心にどのような病がある。」
呂不韋(りょふい)は皓鑭(こうらん)の正体を言い当てました。
李皓鑭(りこうらん)は願いを叶えてくれるなら何でもすると言いました。
呂不韋(りょふい)は李皓鑭(りこうらん)と契約しました。
丞相が呂不韋(りょふい)の館にやって来ました。丞相の息子、蛟王子(こうおうじ)と岫玉(しゅうぎょく)も現れました。
岫玉(しゅうぎょく)は一人で品物を見に行きました。
李皓鑭(りこうらん)は蛟王子(こうおうじ)に会うと岫玉(しゅうぎょく)に手紙を阻まれ母を殺されたので助けて欲しいと言いました。
「駆け落ちをしたくせに母と妹を貶めるとは!何という恥知らずなおなごだ!私は岫玉(しゅうぎょく)の頼みで都中を捜したのだぞ。なのにそなたは妹すら気遣おうとしない。」
蛟王子(こうおうじ)は岫玉(しゅうぎょく)が戻って来ると突然李皓鑭(りこうらん)を責め始めました。
「お姉さま。何があったのです?あのような過ちを犯すなんて。怒りのあまりお父さまはお倒れになったのです。」
岫玉(しゅうぎょく)は言いました。
李皓鑭(りこうらん)は蛟王子(こうおうじ)がすべてを知っていて岫玉(しゅうぎょく)と結婚したことを指摘しました。
「私たちは幼馴染で将来を誓った仲。私との誓いを忘れたのですか?」
皓鑭(こうらん)は言いました。
過去の場面。
蛟王子(こうおうじ)は部下に「国とおなごのどちらが大切ですか」と説得されて高貴な血筋の岫玉(しゅうぎょく)と結婚することに決めたのでした。
蛟王子(こうおうじ)は前から岫玉(しゅうぎょく)を想っていたと皓鑭(こうらん)に冷たく言いました。
岫玉(しゅうぎょく)は父を説得して皓鑭(こうらん)を屋敷に帰る許しを請うてみると言いました。
李皓鑭(りこうらん)は断りました。
呂不韋(りょふい)はその様子を見守っていました。
川。
李皓鑭(りこうらん)は川に沈んで自害しようとしていました。
呂不韋(りょふい)は勝手な真似は赦さぬと言って李皓鑭(りこうらん)を崖上に連れて行きました。
崖。
呂不韋(りょふい)は李皓鑭(りこうらん)に「ただの石」だと言って罵りました。
李皓鑭(りこうらん)は努力しても家族や結婚相手を失い父にも捨てられたと泣きました。
「生き延び長ければ鎧をまとい戦え。先ほど死んだとしても誰一人としても悲しまない。役立たずは生きていても不要だからな。皓鑭(こうらん)。生きるのがつらいなら止めはしない。だが私ならあのような奴らのためには死なない。この天下は私のものだ。よく見ろ。ここにある国は私のために築かれた。この広い土地をいずれ征服する。天下のあらゆる物が私のために存在している。所詮、やつらは添え物だ。虫けらのくせに私を弄ぼうとする。フン。いつの日かこの足で全員踏み潰してやる。」
呂不韋(りょふい)は言いました。
李皓鑭(りこうらん)は母を生き返らせたいだけだと泣きました。
呂不韋(りょふい)は現世で私への借金を返せないなら来世で牛や馬になればいいと言って去りました。
李皓鑭(りこうらん)の実家。
岫玉(しゅうぎょく)は母の高敏(こうびん)に会うと李皓鑭(りこうらん)と出会ったことを打ち明けました。岫玉(しゅうぎょく)は不安の芽は摘んでおきたいと言いました。
崖。
高敏(こうびん)の私兵が現れ李皓鑭(りこうらん)を崖から突き落として殺そうとしました。
呂不韋(りょふい)と司徒缺(しとけつ)が戻って来て私兵を追い払いました。呂不韋(りょふい)は李皓鑭(りこうらん)に命を助けたお礼に付き合うよう求めました。
李皓鑭(りこうらん)は山へ通じる道が一本しかなかったのに刺客とすれ違ったことに気づかないはずが無いと言いました。
呂不韋(りょふい)は刺客が李皓鑭(りこうらん)を殺しに来たことを知っていて戻って来たことを認めました。
李皓鑭(りこうらん)は自分に恩を着せようとした呂不韋(りょふい)の魂胆を見破ると山を降りました。
街。
李皓鑭(りこうらん)は貧しく目の不自由な女性を助けました。女性は李皓鑭(りこうらん)に礼を言いました。皓鑭(こうらん)はこの女性が侍女の燕雲(えんうん)の母であることに気が付きました。
質屋。
李皓鑭(りこうらん)は自分が身に着けていた腕輪と簪(かんざし)を質に出しました。買い取り屋の男は布銭30枚だと言いました。皓鑭(こうらん)は刀銭(とうせん)50枚の価値があると理由を説明しました。男は付け値に不満があるなら帰るように言いました。皓鑭(こうらん)が帰ろうとすると、男は刀銭35枚だと言いました。皓鑭(こうらん)は刀銭50枚だと言いました。
夜の民家。
呂不韋(りょふい)は司徒缺(しとけつ)と李皓鑭(りこうらん)の後を尾行しました。
「お母さん。燕雲は私の命の恩人よ。お母さんも同然よ。さあ薬を飲んで。」
李皓鑭(りこうらん)は燕雲の母を介抱しました。
日中の喫茶店。
岫玉(しゅうぎょく)は友人の女性たちと茶を楽しんでいました。友人の一人が皓鑭(こうらん)はどうしたのかしらと噂しました。岫玉(しゅうぎょく)は答えませんでした。友人は過ちを犯した皓鑭(こうらん)を赦してはいけないと擁護しました。
すぐ下の道を皓鑭(こうらん)が通りがかりました。岫玉(しゅうぎょく)の友人は茶碗を投げました。皓鑭(こうらん)は頭から血を流して倒れました。
岫玉(しゅうぎょく)たちが二階から降りて来て皓鑭(こうらん)を取り囲みました。友人たちは草鞋の行商をしている皓鑭(こうらん)をいじめはじめました。岫玉(しゅうぎょく)は善人を装い友人たちを諫めました。友人たちは喫茶店に引き上げました。
その様子を呂不韋(りょふい)と司徒缺(しとけつ)は見守っていました。
裏通り。
虞平(ぐへい)の息子、虞浩(ぐこう)とその部下が李皓鑭(りこうらん)を追い回しました。虞浩(ぐこう)は皓鑭(こうらん)を囲い女にしようと抱き着きました。皓鑭(こうらん)は護身用の刀を抜いて抵抗しました。
「若様。邯鄲(かんたん)の貴族は誰もが護身用に玉の刀を持っているはずよ。でもあなたは帯刀を禁じられている。何度も過ちを犯して身勝手に振舞ってまた人を殺めればまた国中の噂になるわ。横暴なお父上は敵が多い。またあなたが過ちを犯せばお父上は自害を命じられるでしょうね。千畳の堤も蟻の穴から崩れると言うわ。若様。試してみる?私という蟻が大木を揺るがすことができるか!」
李皓鑭(りこうらん)は虞浩に詰め寄りました。
騒ぎをききつけて出て来た街の人々は逃げる虞浩を見て笑いました。
「お姉さま大丈夫?お母様のお墓がどこにあるか知らない?お母様は気を失い井戸に落ちた。慈悲深いお父様はお母様を井戸から引き上げて葬った。お墓がどこにあるか知りたくない?なら跪いて。自尊心を捨てられない?」
岫玉(しゅうぎょく)がわざとらしく近寄って来ました。
「岫玉(しゅうぎょく)。教えてください。母はどこに葬られたのですか?お願いします。教えてください。この通りです。
李皓鑭(りこうらん)は何度も土下座しました。
「これはお祖母様の玉佩(ぎょくはい)ね。お父さまはあなたにお与えになった。同じ家に生まれた姉妹なのにお父さまが大切にしたのはあなた。一緒に琴を習ったときにもすべてをあなたに教えた。蛟王子(こうおうじ)の時もそう。あの人が愛したのは私ではなくあなただった。なぜなの?」
岫玉(しゅうぎょく)は憎しみを李皓鑭(りこうらん)にぶちまけました。
「早く教えてください。」
李皓鑭(りこうらん)は懇願しました。
「李家の墓に行くのね。」
岫玉(しゅうぎょく)は言いました。
李家の墓地。
使用人の男は無縁仏を葬ることができなかったと李皓鑭(りこうらん)に説明しました。
お母さんのお墓。
雨が降りました。
寂れた場所に王婉児(おうえんじ)の墓がありました。
「赦してくれ。どうか私の苦しい胸の内を察してくれ。」
李皓鑭(りこうらん)の父、李赫(りかく)が墓の前で泣いていました。
「お父さま!」
李皓鑭(りこうらん)は父に駆け寄りました。
「コウラン。生きていたのか。心配で胸が張り裂けそうだった。本当に無事で何よりだ。皓鑭(こうらん)。この傷はどうしたのだ?」
李赫(りかく)は李皓鑭(りこうらん)を抱き締めました。
李皓鑭(りこうらん)は泣きながら母の墓に何度も土下座しました。
「コウラン。どうしたのだ?」
「駆け落ちのことは聞かないのね?つまり私が悪者にされたことや、母が溺れさせられて殺されたことを知っていた!」
「コウラン。すまない。お前の失踪を虞平(ぐへい)様に釈明しなければならなかった。そうでなければ私が辱められるだけでなく家門に傷が付く。必ず汚名をそそぎお前が家に帰れるようにしてやる。私を信じてくれ。」
「それでお母さまの死を償う気?十八年前、お父さまは楚(そ)の国で賊に襲われていたところをお祖父さまに助けられ、母を娶って趙(ちょう)の国へ連れ帰った。そこに高敏(こうびん)が現れお父さまを欲した。お母様は正室だったのに、こに国には後ろ盾がいなくて高敏(こうびん)の親戚に側室にされてしまった。」
「ご両親がご健在だったら。お義父上には逆らえず仕方なかった。本当につらい思いをさせた。だから罪滅ぼしをせねばならぬ。目をかけていたのだ。」
「私たち親子の深い愛情に高敏(こうびん)は嫉妬した。何年もの間、誰にも気づかれないように裏でお母さまを酷い目に遭わせていた。それでもお母さまはお父さまと添い遂げると信じてずっと耐えていた。」
「私もつらかったのだ。」
「言い訳は聞きたくないわ!もうお母さまは返って来ない!」
「勝手にしろ!」
「お父さま。私が犯したという過ちは私が正すは。」
「この期に及んでもまだ謝らぬのか?」
「謝ったわ。地面に跪いた。でも何も変わらない。だからも謝らない。私は、誰にも頼らないわ。絶対。」
李皓鑭(りこうらん)は母の墓にひれ伏しました。
街。
李皓鑭(りこうらん)は祖母の形見を売るか迷っていました。医者は燕雲の母を治療するにはもっと高価な薬が必要だと言っていました。
通りで孤児の兄弟が腹をすかせて震えていました。兄は通行人に押し倒されて転倒しました。
李皓鑭(りこうらん)はその子を助けようとしたところ、嬴異人(えいいじん)が従者、公孫乾(こうそんけん)の懐からお金を出して男の子に与えました。
その様子に見とれていた李皓鑭(りこうらん)は行商人にぶつかって倒れました。
李皓鑭(りこうらん)は高価な薬を道に落としてしまいました。
「怪我はないか?」
嬴異人(えいいじん)は李皓鑭(りこうらん)のために薬を拾ってあげました。
李皓鑭(りこうらん)は若君にお礼を言うと別れました。
ある日の趙(ちょう)の宮廷。
国王と妃は宴を開きました。数人の舞姫たちが見事な舞を披露しました。
岫玉(しゅうぎょく)は蛟王子(こうおうじ)に目配せしました。
虞平(ぐへい)は李赫(りかく)に岫玉(しゅうぎょく)の婚礼を祝いました。李赫(りかく)は畏まって感謝しました。
趙王(ちょうおう)は嬴異人(えいいじん)に前に来るよう命じ、年齢を尋ねました。
秦王の孫、嬴異人(えいいじん)は婚礼についてはまだ何も考えて居ないと謙遜しました。
趙王(ちょうおう)はまだ好みのおなごがいないなら余が決めてやろうと言いました。
舞姫の一人が立ち上がり礼をしました。
「王様、辞退したいと思います。人質など話になりません。」
舞姫は断りました。
貴族たちは嘲笑しました。
「恐れ入ります。やはり縁遠いようです。」
嬴異人(えいいじん)は顔色を変えずに答えました。
宴が終わりました。
秦王は孫の子傒(しけい)妃に趙王の娘の雅(が)という姫を迎えたがっていました。子傒(しけい)は秦王の後継者である安国君の寵愛を受けていました。狡猾な秦王は婚姻を承諾させるために贈り物を趙王に贈っていました。
丞相(じょうしょう)は雅姫が子傒(しけい)とその息子に影響力を持つことができれば趙の国に有利になるかもしれないと趙王(ちょうおう)に言いました。
夜の燕雲(えんうん)のお母さんのあばら家。
虞浩(ぐこう)その手下が皓鑭(こうらん)を捜しに現れました。
かまどの火が燃え移り、お母さんは炎の中に取り残されました。
戻って来た皓鑭(こうらん)の目の前で燕雲(えんうん)のお母さんが死んでしまいました。
朝。
李皓鑭(りこうらん)は燕雲(えんうん)のお母さんの遺体の前で茫然としていました。
呂不韋(りょふい)は皓鑭(こうらん)を心配して見に来ました。
「世の流れに従える者だけが栄えられる。つまらぬ自尊心を守っても何の役にも立たぬぞ。私と行こう。」
呂不韋(りょふい)は言いました。
「約束はまだ生きているわ。」
李皓鑭(りこうらん)は言いました。
虞平(ぐへい)の屋敷。
「愚か者め!」
虞平(ぐへい)は虞浩に怒鳴り謹慎を命じました。虞平(ぐへい)は息子のために老婆は目が不自由だったので火の手から逃げられなかったことにしました。
竹林の中。
嬴異人(えいいじん)は優雅に琴を演奏していました。刀を磨いていた公孫乾(こうそんけん)は今度の宴で披露してはどうかと言いました。そこに雅公主が侍女と共に現れました。公孫乾(こうそんけん)は席を外しました。
「異人。お父さまがあなたのお兄さまに嫁げと言うのよ。秦の子傒(しけい)に。」
雅(が)公主は言いました。
嬴異人(えいいじん)は雅(が)公主を無視しました。
怒った雅公主は刀を抜いて嬴異人(えいいじん)の前に突き出しました。
感想
中国ドラマ「コウラン伝 始皇帝の母」1話の視聴感想です。李皓鑭(りこうらん)という17歳くらいでしょうか。結婚するのにふさわしい年頃の乙女が主人公のようですね!ところが、意地悪な継母とその娘に家を追い出された挙句、母を殺され命まで狙われるようになってしまいました!さっそく人生が転落して身寄りがなくなるところからのスタートです。
李皓鑭(りこうらん)を拾ったのは呂不韋(りょふい)という謎の大商人。呂不韋(りょふい)はとにかくお金持ちのようです。
話の状況から、物語の舞台は趙(ちょう)という国のようです。周辺には秦(しん)や楚(そ)、斉(せい)という国があるようですね。
それらの国には「王様」がそれぞれいるようです!
ドラマの舞台は「趙(ちょう)」ですから地図で言うと北部中央です。東には「燕(えん)」の国が、西には秦(しん)の国、南には(楚)の国があります。
時代的には韓国ドラマ「朱蒙(チュモン)」よりもずっと前ですね。韓国ドラマでは朱蒙(チュモン)より前の時代劇は無いですから、それよりも古い話になります。
魏や韓の国はまだ小さかったようです。
日本では弥生時代であるとされていますので、中国大陸から逃れた貴族たちが東方の島国に文明をもたらしつつあった時代とも考えられますね。
朝鮮半島では遊牧民族と中国から来た農耕民族が入り混じっていたような感じでしょうか。察するに遊牧民族や他部族などの襲撃が嫌になった集団がポツポツと日本に来始めた時代なのかもしれません。
ところで秦の始皇帝のお母さんの話がなぜドラマの舞台が隣国の趙(ちょう)の国から始まるのでしょうか!?それは主人国の李皓鑭(りこうらん)が趙の邯郸にいたからです!
どうやら高敏(こうびん)も岫玉(しゅうぎょく)も李赫(りかく)なども架空の人物のようですね。
呂不韋(りょふい)は史実にあるものの、伝説なのか架空の人物なのかどうなんでしょうね。
続きが気になります。