瓔珞(えいらく)12話 復讐の果実
目次
あらすじ
皇后主催の茶会が行われました。犬は高貴妃(こうきひ)と嘉嬪(かひん)の間を行ったり来たりしていました。それを利用して高貴妃と嘉嬪は密かに連絡をとり合いました。
過去の儲秀宮(ちょしゅうきゅう)。
嘉嬪(かひん)は愉貴人(ゆきじん)の薬に微量の毒になる染料を混ぜ、数か月経たないと効果は出ず、ついに腰痛や不眠などの大ごとになり、皇后が知れば我々と捉えようとするだろうと高貴妃(こうきひ)に報告しました。
嘉嬪(かひん)は太医院を訪ね、愉貴人(ゆきじん)の診療記録を見て芳草(ほうそう)の報告と診療記録が異なれば何か起きたに違いないと思いました。そして嘉嬪(かひん)は瓔珞(えいらく)を永遠に追放する手立てを思いついたと高貴妃(こうきひ)に言いました。
長春宮。
魏瓔珞(ぎえいらく)が戻ると女官の珍珠(ちんじゅ)が泣いていました。珍珠(ちんじゅ)は何者かが侵入して茘枝(レイシ)の木に熱湯をかたと報告しました。
茶会の場。
乾隆帝がやって来ました。乾隆帝は皇后の手を取ると冷たかったので心配しました。皇后はもともと手が冷たいのだと答えました。
瓔珞(えいらく)は遠くから茶会を覗き込んでいました。怯える珍珠は瓔珞(えいらく)の袖にしがみつきました。瓔珞(えいらく)は珍珠に実をより分けて御膳茶坊に届けて茶会に出し、皇后には実を摘むために最後の1本の木を残したと伝えるよう命じました。
嫻妃(かんひ)は浮かない顔で茶会の場にいました。
皇后は嫻妃(かんひ)を励ますために誕生日に一対の手彫りの如意玉を贈ってくれたことに感謝しました。皇后は最も気に入った貢物をくれた嫻妃(かんひ)に褒美を与えたいと乾隆帝に言いました。
「皇后様、私には分不相応です。」
嫻妃(かんひ)は固辞しました。
乾隆帝が受け取るように促すと、嫻妃(かんひ)は土下座して感謝しました。
舒貴人(じょきじん)納蘭(ナーラン)氏は気に入らない様子でした。
嘉嬪(かひん)は犬を放ちました。犬は勝手にどこかに走って行きました。
長春宮。
瓔珞(えいらく)は木を赤い布で包むと珍珠(ちんじゅ)に茘枝(レイシ)の傍から一歩も離れないよう命じました。
永和宮。
愉貴人(ゆきじん)は心を痛めていました。瓔珞(えいらく)が愉貴人(ゆきじん)を迎えに来ましたが、愉貴人(ゆきじん)は茶会に行きたくないと言いました。瓔珞(えいらく)は侍女を下がらせ部屋で二人きりになりました。そして鋏を投げました。愉貴人(ゆきじん)はびっくりして飛び上がりました。
「怖いですよね。命を絶てば虐げられることはありません。高貴妃(こうきひ)たちが愉貴人(ゆきじん)に次々と嫌がらせをしているのに、隠れたままでよいのですか?怖がるほど相手は付け上がります。」
瓔珞(えいらく)は愉貴人(ゆきじん)に言いました。
「怡嬪(いひん)が殺され私も殺されるかもしれない。」
愉貴人(ゆきじん)は言いました。
「宮殿は隠れる場でなくあなたを閉じ込める場なのです。怡嬪(いひん)が亡くなられた今、次はあなた様の番です。」
瓔珞(えいらく)は言いました。
「その通りよ。怖いわ。とても怖い。あの人たちにされたことを思い出すと震えが止まらない。でも瓔珞(えいらく)。私だって抵抗したわ。怡嬪(いひん)の最期をあなたも見たでしょ。」
愉貴人(ゆきじん)はため息をつきました。
「愉貴人(ゆきじん)。私は八歳の時に犬にかまれました。痛くて一晩中泣いて次の日に棒を片手に犬を追いかけました。愉貴人(ゆきじん)も勇気を出してやり返せば相手は逃げるのです。悪人は弱者を虐げ強い者を恐れます。怖がるほど相手は増長するのです。お子様のためにも、怡嬪(いひん)のためにも自ら武器を持ち戦うのです。」
瓔珞(えいらく)は言いました。
「武器。武器なんてないわ。」
怡嬪(いひん)は言いました。
「あなたの武器はそのお涙。お子さま。今日しかありません。」
瓔珞(えいらく)は愉貴人(ゆきじん)を励ましました。
茶会。
次の御膳が運ばれてきました。女官は御厨が用意した白雪紅梅という料理について「茘枝(レイシ)は陽性なのでぬるめの塩水に浸して枸杞と中和させました」と説明しました。
高貴妃(こうきひ)は料理が平凡すぎると言いました。
「本当に茘枝(レイシ)が好きな人は実だけ食べるものです。今日は茘枝(レイシ)をお摘みになる日では?」
高貴妃(こうきひ)は言いました。
愉貴人(ゆきじん)は勇気を出して茶会に参加しました。
皇后は温かく愉貴人(ゆきじん)を迎えました。
乾隆帝が体調を尋ねると、愉貴人(ゆきじん)は「十分回復しました」と答えました。
嘉嬪(かひん)は瓔珞(えいらく)はまだかと皇后に尋ねました。
そこに、瓔珞(えいらく)が茘枝(レイシ)の木を運んできました。
富察皇后(ふちゃこうごう)の前で赤い布が外されると中から犬が出て来ました。妃たちは驚いて逃げまどいました。高貴妃(こうきひ)は嫻妃(かんひ)の体に掴まりました。瓔珞(えいらく)は愉貴人(ゆきじん)を守りました。
「高貴妃(こうきひ)。御花園での嫌がらせに飽き足らず私を殺すつもりですか!」
愉貴人(ゆきじん)は動揺した様子で言いました。
「何の話だ。愉貴人(ゆきじん)に何があった。」
乾隆帝は扇を投げて立ち上がりました。
「恐れながら申し上げます。ひと月前にも雪球(せつきゅう)が御花園で愉貴人(ゆきじん)に向かって暴れました。皇后陛下は寛大に処理なさいましたが愉貴人(ゆきじん)は薬がないと眠れなくなり今日また同じ目に遭いました。」
純妃(じゅんひ)蘇氏(そし)は言いました。
「私が犬をけしかけたというの!」
高貴妃(こうきひ)は怒りました。
「皆が目撃したのにまだ弁明なさるの?」
純妃(じゅんひ)は言いました。
「純妃(じゅんひ)。言いがかりをつけるつもり?雪球が追い掛けたのは愉貴人(ゆきじん)だけ?」
高貴妃(こうきひ)は言いました。
「陛下。陛下。お助け下さい。もう限界です。陛下。このままでは子も私も死んでしまいます。陛下。どうかお助け下さい。陛下。私をお守りください。」
愉貴人(ゆきじん)は土下座して泣きました。
「愉貴人(ゆきじん)を起こしてやれ。朕にも考えがある。」
乾隆帝は言いました。
愉貴人(ゆきじん)は瓔珞(えいらく)と嫻妃(かんひ)に支えられて椅子に腰かけました。
「何度愉貴人(ゆきじん)を怖がらせば気が済むの?今日は私の茶会なのにまた犬を放して愉貴人(ゆきじん)を驚かすとは何のつもり?」
富察皇后(ふちゃこうごう)は高貴妃(こうきひ)に言いました。
「高貴妃(こうきひ)。早く答えよ。」
乾隆帝は言いました。
「皇帝陛下。私には身に覚えがありません。雪球はよく言うことをきく子です。御花園のことも何のことか。」
高貴妃(こうきひ)は跪いて釈明しました。
「茘枝(レイシ)の枝が落とされたのにまだ誤解というの?犬を放さぬように何度も警告したのに人をかむことはなくても貢物を台無しにしたのよ。陛下の贈り物なのに。」
皇后は言いました。
「陛下。もし儲秀宮(ちょしゅうきゅう)一本贈っていればこのような事態は防げたのでは?結局のところ高貴妃(こうきひ)が嫉妬して茘枝(レイシ)に危害を加えたのです。愉貴人(ゆきじん)はまた怖い思いをすることに。」
純妃(じゅんひ)は言いました。
「朕が皇后を偏重することに不満を抱き犬を使って皇后を困らせ朕に示威したというのか?」
乾隆帝は言いました。
「雪球は畜生ですが、茶会を台無しにしました。帰って皮をはいでやります。」
高貴妃(こうきひ)は言いました。
「しょせんは犬よ。善悪などわからないわ。すべての過ちを犬に押し付けるつもり?」
皇后は言いました。
「虎児柙より出で、亀玉櫝櫝中に毀るれば是誰の過ちぞや?」
乾隆帝は言いました。
「陛下。猛獣が檻から逃げ出し箱の中の宝石が壊れれば看守の責任です。木を運ぶ際に雪球は足元でじゃれていました。高貴妃(こうきひ)様の愛犬なので追い払うのも気が引けこのようなことになりました。どうか私を罰してください。」
瓔珞(えいらく)は土下座しました。
「魏瓔珞(ぎえいらく)よ。お前の罰として・・・。」
乾隆帝は言い掛けました。
「半年の減俸よ。」
皇后は言いました。
「おそれながらもうひとつお尋ねします。看守の罰があれば枯らせた者への罰は?」
瓔珞(えいらく)は言いました。
「女官の分際で!黙りなさい。」
嘉嬪(かひん)は怒りました。
「当事者は弁解もできないの?愉貴人(ゆきじん)の代わりに問うているの。被害を受けた者は問うこともできない。」
皇后は嘉嬪(かひん)を叱りました。
「皇后様。私の非礼をお許しください。愉貴人(ゆきじん)はご懐妊中です。茘枝(レイシ)は福建の貢物で陛下の下賜品です。皇后様が寛大でも冒涜するなどもってのほかです。雪球が起こした騒動とはいえ畜生なので礼儀も掟も知りません。責められるべきは野放しにした飼い主かと。恐れ多いですがご判断ください。」
瓔珞(えいらく)は言いました。
「高貴妃(こうきひ)。あなたは、どう思う?」
乾隆帝は言いました。
「私が悪いのです。高貴妃(こうきひ)様は雪球が茶会を台無しにすることを恐れて私に監視を命じました。このようなことになったのは私の過ちです。高貴妃(こうきひ)様は関係ありません。」
嘉嬪(かひん)が出て来て謝りました。
「高貴妃(こうきひ)様は儲秀宮(ちょしゅうきゅう)の主です。嘉嬪(かひん)様だけ罪に問えますか。」
純妃(じゅんひ)は言いました。
「悪いのは私です。どうか罰するなら私だけを。この通りです。」
嘉嬪(かひん)は言いました。
「この茘枝(レイシ)は特別な品だ。福建から送らせた。朕が皇后に贈って喜ばせたかったのだ。そちの過ちで朕の努力は水の泡だ。だが朕にしか謝らぬ。そちは皇后に謝るべきであろう。」
乾隆帝は嘉嬪(かひん)に言いました。
「皇后様。犬のしつけが至らぬ私のせいです。どうかお許しください。どうかこの通りです。」
嘉嬪(かひん)は皇后の裾にしがみ付きました。
「私は茶会を損ねられただけ。でも愉貴人(ゆきじん)はまた恐怖に陥れられた。万一お子に影響があれば何度謝っても償いきれないわ。」
皇后は言いました。
「嘉嬪(かひん)様。皇后様の御意向は愉貴人(ゆきじん)に謝ることです。何をためらっておられますか?謝る気がないのですか?」
瓔珞(えいらく)は言いました。
「いいえ。違います。愉貴人(ゆきじん)。私が至らないせいで、このような騒ぎがおきたわ。許してちょうだい。」
愉貴人(ゆきじん)は言いました。
「許すなど私にはおそれおおいことです。」
愉貴人(ゆきじん)は嘉嬪(かひん)と目を合わせませんでした。
「どうかお願い!」
嘉嬪(かひん)は言いました。
「心から悔いるならもう犬を放さないで。」
愉貴人(ゆきじん)は言いました。
「もう二度とやりません。」
嘉嬪(かひん)は言いました。
高貴妃(こうきひ)も責任を認め謝罪しました。
乾隆帝は嘉嬪(かひん)を貴人に降格して三か月の禁足を命じ、後宮の管理ができない無能な高貴妃(こうきひ)は減俸1年となりました。
夕方。
茶会が終わり瓔珞(えいらく)は事件の経緯を皇后に報告しました。
回想シーン。
瓔珞(えいらく)が珍珠とともに犬を抱きかかえ連れて行く場面。
話を聞いた皇后は笑いました。
瓔珞(えいらく)は高貴妃(こうきひ)と嘉嬪(かひん)の行いは皇后様の面子を汚すので見過ごせなかったと言いました。
「ねえ瓔珞(えいらく)。あなたは学がないというのになぜ陛下の引用がわかったの?」
皇后は尋ねました。
「論語で分かるのは三つです。学んでときに之を習う。三人行けばわが師あり。それともう一つ、虎児、柙より出で、です。隣家の子息が諳んじていたので私も覚えました。私の出は貧しく衣食が足りれば十分で勉強までは望めませんでした。皇后様。これが大半のおなごの現実です。」
瓔珞(えいらく)は言いました。
「では私が明日から教えてあげる。聡明なあなたに教養と礼儀を教えてあげるわ。天性の賢さと才能を無駄にしてはいけないわ。」
富察皇后(ふちゃこうごう)は優しく瓔珞(えいらく)に言いました。
「厚恩の極みでございます。皇后様。」
瓔珞(えいらく)は両手を突いて感謝しました。
嫻妃(かんひ)は純妃(じゅんひ)の宮の門前で待っていました。純妃(じゅんひ)が来ると、嫻妃(かんひ)は皇后陛下にお金に困っていることを知らせたことについて不快感を示しました。純妃(じゅんひ)は皇后様と雑談で少し触れただけだと言いました。
「派閥に入りたくないのですね。本音を申し上げます。皇后様は人を懐柔するお考えはなく、見返りも望みません。嫻妃(かんひ)様をお助けしたかっただけ。負担を考慮して皇帝陛下の御前での恩賞として公に渡したのです。ですので気兼ねしないで受け取るべきです。嫻妃(かんひ)様。早く弟を助けてあげてください。」
純妃(じゅんひ)は出かけました。
珍児(ちんじ)ははこれで安心だと嫻妃(かんひ)に言いました。
しかし嫻妃(かんひ)は金品を受け取らざるを得なくなった純妃(じゅんひ)の賢さを疑っていました。
皇帝の侍従の李玉(りぎょく)は索倫(ソロン)侍衛(しえい)こと海蘭察(ハイランチャ)にに犬を処分するよう頼みました。
「私の衣に血が付くと縁起が悪いのでお願いします。」
李玉(りぎょく)は言うと持ち場に戻りました。
「高貴妃(こうきひ)の仕返しが怖いくせに。」
海蘭察(ハイランチャ)はつぶやきました。
「索倫(ソロン)侍衛(しえい)。長春宮の女官です。」
瓔珞(えいらく)は海蘭察(ハイランチャ)に声を掛けました。
「魏瓔珞(ぎえいらく)。あの太監をやっつけたことは忘れられないな。」
海蘭察(ハイランチャ)は再び瓔珞(えいらく)と会えて嬉しくなりました。
瓔珞(えいらく)は「恨みを晴らしてから殺すのです」と言って犬を引き渡すように頼みました。
「おなごに犬を殺せるのか?」
海蘭察(ハイランチャ)は言いました。
「クビにはならなかったけどとても怒られたのです。皮を剥いでやる。」
瓔珞(えいらく)はそう言うと犬を受け取りました。
「陛下には・・・迷惑かけるなよ!」
海蘭察(ハイランチャ)は片目をつぶってみせました。
瓔珞(えいらく)が去ると、隠れて見ていた富察傅恒(フチャふこう)が現れました。傅恒(ふこう)は海蘭察(ハイランチャ)が瓔珞(えいらく)に犬を押し付けたと思いました。海蘭察(ハイランチャ)は瓔珞(えいらく)が自ら犬を引き取ったと言いました。
「とぼけるな。高貴妃(こうきひ)に責められるのは御免だろ。」
傅恒(ふこう)は言いました。
「女の怒りは怖いからな。長春宮と儲秀宮(ちょしゅうきゅう)はもともと敵同士だ。だがおなごに犬を殺せるかな。」
海蘭察(ハイランチャ)は言いました。
「あいつを見くびるな。」
傅恒(ふこう)は言いました。
皇帝の部屋。
乾隆帝は本を読んでいましたが途中でやめました。
「妙だ。茘枝(レイシ)の状態を覚えているか。下のほうはわかるが上は?フン。すぐにあの女官を連れて来い。再度問う。待て。こっちこっちこっち。もうよい。大胆不敵な女官目。責任転嫁したのだ。今行ってももう遅い。」
乾隆帝は李玉(りぎょく)に言いました。
「今から行って捕らえます。」
李玉(りぎょく)は言いました。
「そんなことできるか。二刻も経たずして撤回はできぬ。」
乾隆帝は李玉(りぎょく)の尻を蹴りました。
「高貴妃(こうきひ)と嘉嬪(かひん)に被せた罪を不問にされるのですか?」
李玉(りぎょく)は言いました。
「愉貴人(ゆきじん)の様子から儲秀宮(ちょしゅうきゅう)がこの件に関わったことは確かだ。処分されたのは自業自得だろう。あの女官がしたことは皇后を守るためだ。皇后の面子を思うと厳しくはできぬ。だが朕の手を借りて報復するとは腹立たしい。まことに腹が立つ。」
乾隆帝は椅子に戻りました。
「李総管。どうでしたか?」
部屋の外で待機していた徳勝(とくしょう)は尋ねました。
「徳勝。陛下のお人柄をどう思う?」
李玉(りぎょく)は言いました。
「冷酷に処罰をするお方?」
徳勝(とくしょう)は言いました。
「清の皇帝だ。容赦なく敵を斬る。情けをかけると後が大変だから。」
李玉(りぎょく)は言いました。
「陛下は何か酌量されているのでしょう。」
徳勝(とくしょう)は言いました。
「何を酌量するというのだ。鄂善(オサン)はかつて信頼され大勢に嘆願されても最後は一瞬で殺されただろ。」
李玉(りぎょく)は言いました。
「ふふふ。相手は男ですか?女ですか?顔立ちは貧相ですか器量よしですか?」
徳勝(とくしょう)は言いました。
「女で憎相だ。思い出すと・・・なぜそんなことを聞く。思い出してみれば器量よしだ。つまり・・・あり得ぬ。」
李玉(りぎょく)は言いました。
「李総管。この広い世の中であり得ぬことでも?」
徳勝(とくしょう)は言いました。
「絶対にあり得ぬと言っている!」
李玉(りぎょく)は言いました。
「ではそういうことに。想像したまでです。」
徳勝は会話を切り上げました。
「あり得ぬ。」
李玉(りぎょく)は首を横に振りました。
瓔珞(えいらく)は海蘭察(ハイランチャ)に会うと犬を憂さ晴らしに打ちのめして殺したと言いました。海蘭察(ハイランチャ)は肉はどうしたと尋ねました。瓔珞(えいらく)は清の入関前に、旗人(きじん)は猟犬で狩りをしていたので犬の肉を食べることを禁じた話を持ち出しました。そして犬を埋めたので毛皮を持ってきたと言いました。海蘭察(ハイランチャ)は犬の毛皮を受け取りました。瓔珞(えいらく)が帰ると傅恒(ふこう)が出て来て犬の毛皮を確かめました。
★
感想
瓔珞(えいらく)12話の感想です。高貴妃(こうきひ)と嘉嬪(かひん)は乾隆帝が愛する富察皇后(ふちゃこうごう)に贈った茘枝(レイシ)の木を荒らしてしまいました。瓔珞(えいらく)は高貴妃(こうきひ)の犬が木を荒らしたように装いました。このことで乾隆帝は高貴妃(こうきひ)が愉貴人(ゆきじん)に嫌がらせをしていたことを知り、犬の管理ができなかった高貴妃(こうきひ)と嘉嬪(かひん)を罰しました。瓔珞(えいらく)は犬を追い出せなかった責任をとらされ半年の減俸になり、死罪を免れました。
純妃(じゅんひ)は富察皇后(ふちゃこうごう)に嫻妃(かんひ)の窮状を伝えていました。嫻妃(かんひ)は面子を汚されることなく皇后の助けを得ることができました。
純妃(じゅんひ)の本当の狙いが何かわかりませんが、怪しい人ですね。
富察皇后(ふちゃこうごう)は本当に美しくて優雅で、やさしくて、まったく非の打ちどころがありません!生まれも育ちも高貴で性格も上品そのものです。そんな人、現実にいるわけないですね!皇后のようなキャラを保つには大金と名誉が無いと無理ですから。
乾隆帝も傅恒(ふこう)も、皇后もかなり賢い人物として描かれています。
瓔珞(えいらく)を見てたら働きたくなってしまいました!
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