瓔珞(えいらく)30話 襲われた宴
目次
あらすじ
皇太后の誕辰を祝う宴の場が御花園(ぎょかえん)の御景亭(おんけいてい)で開かれました。高貴妃(こうきひ)は皇后富察氏を流産させようと鹿の血豆腐を供させました。懐妊中の富察皇后は吐き気を催しました。皇太后が早く血豆腐を片付けよと命じると、女官はわざと転んで血豆腐をばら撒きました。たちどころに匂いが充満して蝙蝠(こうもり)が集まって来ました。嫻妃(かんひ)は皇太后を守りに行きました。
純妃(じゅんひ)の前で女官が転んで手すりに頭をぶつけて倒れました。純妃(じゅんひ)は悪い出来事を思い出しました。
明玉(めいぎょく)は富察皇后(ふちゃこうごう)を見失ってしまいました。
嫻妃(かんひ)は皇太后に布を掛けて必死で蝙蝠を追い払おうとしました。
高貴妃(こうきひ)は富察皇后(ふちゃこうごう)を階段から突き落としました。明玉(めいぎょく)が駆け付けましたが皇后は気を失っていました。高貴妃(こうきひ)はわざと柱に自分の肩をぶつけて怪我をしました。
長春宮。
乾隆帝は一晩中皇后を見守っていました。何人もの侍医が皇后を治療していました。
純妃(じゅんひ)は乾隆帝に帰って休むように言いましたが乾隆帝は聞き入れませんでした。
「あなたが目を離すからこうなったのに陛下に聞かれたら罰せられるわ。」
爾晴(じせい)は乾隆帝の真後ろで明玉(めいぎょく)に言いました。
明玉(めいぎょく)は爾晴(じせい)に連れられて部屋を出ました。
寿康宮(じゅこうきゅう)。
皇太后は皇后が転落してとても心配していました。
長春宮。
明玉(めいぎょく)は庭で泣いていました。
傅恒(ふこう)が駆け付け明玉(めいぎょく)に姉の容態を尋ねました。
明玉(めいぎょく)は皇后もお腹の子の容態もわからないと泣きながら答えました。
海蘭察(ハイランチャ)は明玉(めいぎょく)に泣かないように言いました。
明玉(めいぎょく)は自分が悪いのだと泣きました。
「何があっても皇后様をお守りするよう瓔珞(えいらく)に言われました。その通りにしなかった私の責任です。私が皇后様をお守りしていれば皇后様は転落しなかった。私のせいです。」
「泣いても解決しないぞ。皇后様の意識は戻らず皆が混乱している。あなたが泣いても騒ぎが大きくなるだけだ。何をすべきか考えるんだ。」
「瓔珞(えいらく)を、呼んでくる!」
明玉(めいぎょく)は駆け出しました。
寿康宮(じゅこうきゅう)。
嫻妃(かんひ)は皇太后に会って慰めました。
「天は必ず皇后様に味方します。皇太后様が長春宮に行かれれば陛下はお二人とも心配せねばなりません。そのうち知らせが入るでしょう。」
「そなたは影が薄いと思っていた。先ほどは皇后が放心し妃嬪(ひひん)たちが混乱する中でそなたは冷静だった。落ち着いて皆を鎮める姿に感服した。」
皇太后は嫻妃(かんひ)に言いました。
嫻妃(かんひ)は命に代えても皇太后様をお守りしようと恐怖に耐えてがんばったと言いました。
皇太后は嫻妃(かんひ)の毅然とし態度を褒めて後宮を任せたいと言いました。
辛者庫(しんじゃこ)。
明玉(めいぎょく)は瓔珞(えいらく)に泣きついて事情を話しました。明玉(めいぎょく)は誰かに自分が押し倒されたと言いました。
瓔珞(えいらく)は誰が最初に皇后を見つけたのか尋ねました。
明玉(めいぎょく)は高貴妃(こうきひ)だと答えました。
袁春望(えんしゅんぼう)は二人の話を壁の影で立ち聞きしていました。
瓔珞(えいらく)は高貴妃(こうきひ)が皇后を突き落としたと確信して明玉(めいぎょく)の手を引き長春宮に行きました。
儲秀宮(ちょしゅうきゅう)。
高貴妃(こうきひ)は肩を脱臼したとして侍医の手当を受けていました。侍医が帰ると舒貴人(じょきじん)納蘭(ナーラン)氏は「なぜご自身を傷つける必要があるのですか?」と尋ねました。高貴妃(こうきひ)は負傷すれば怪しまれず誰にも責められないと答えました。
長春宮。
明玉(めいぎょく)は瓔珞(えいらく)と手をつないだまま到着しました。
瓔珞(えいらく)は「追放された身なので皇后様の容態など関係無いわ」と誰にでも聞こえる声で言いました。珍珠(ちんじゅ)たちが集まって来ました。琥珀と翡翠は瓔珞(えいらく)を責めました。
「皇后様から追放された私を誰かかばってくれた?辛者庫(しんじゃこ)でつらい思いをしている私をみんなで冷酷と非難する気?私が姿を見せれば皇后様の意識が戻るとでも?時間が惜しいから仕事に戻るわ。罰として食事を抜かれるかもしれない。仕事が山ほどあるし。私はあなたたちのように恵まれた女官じゃないし。」
傅恒(ふこう)は瓔珞(えいらく)が責められる様子を聴いていました。
明玉(めいぎょく)は瓔珞(えいらく)に帰りなさいと怒りました。
「皇后様がお倒れになって長春宮も殺風景になったわね。もうここへは来たくない。」
瓔珞(えいらく)は憎まれ口を叩いて帰りました。
「なんて悪女なの。」
琥珀と翡翠は言いました。
「富察侍衛(しえい)!追わないで!」
明玉(めいぎょく)は叫びましたが富察傅恒(フチャふこう)は瓔珞(えいらく)を追いました。
傅恒(ふこう)は瓔珞(えいらく)になぜ強がるのか理由を尋ねました。
「私の手を握った時に気づかなかったの?わかったでしょ。私は刺繍女官だった。繊細な絹織物に触れるため傷は許されなかった。でも今は傷だらけで血がにじんでる。もう針仕事は無理よ。誰のせいだと?お姉さまのせいよ。先日は草を刈っていたら皇后様が通りがかった。私は鞭で体が傷つくほど打たれたわ。でも皇后様は私に目もくれなかった。皇后様には私ごときは道の泥と同じよ。そんな冷淡な皇后様をどうして心配しなければいけないの?」
「瓔珞(えいらく)。皇后様はあなたを追い出そうとしたが文字を教えた。主でなくても師ではある。どうして師を見舞うことができないのだ。」
「富察侍衛(しえい)こそどうして無駄な事にこだわるの?私が皇后様の病を治せるとでも?私は侍医でも仙女でもない。涙ひとつで皇后様を治せるとでも?帰りが遅くなると罰っせられるのよ。私を責めるなら代わりに殴られてくれる?鞭打ちの痛さなど知らないでしょ。長春宮を追い出された時に主との縁も師への恩もみんな終わったの。傅恒(ふこう)。あなたや皇后様のような高貴な人々に私の苦しみや恨みがわかるはずがない。つきまとったら私から嫌うわよ。」
瓔珞(えいらく)は去りました。
乾隆帝と純妃(じゅんひ)はいつまでも皇后を見守っていました。
次の日の永巷。
「昨日の夜長春宮で騒いだだろ。何を考えている?」
袁春望(えんしゅんぼう)は元気が無い瓔珞(えいらく)に尋ねました。
「私の心がわかるなら当ててみて。」
瓔珞(えいらく)は雑巾をしぼりました。
「何かを企ててるんだろ?」
「違うわ。辛者庫(しんじゃこ)の奴婢が後宮の争いに加われるとでも?私はこの争いに巻き込まれたくない。肥桶を洗い饅頭を貰えればそれでいいの。」
瓔珞(えいらく)は肥桶を運んで行きました。
長春宮。
乾隆帝は侍医に皇后の意識を取り戻す方法を尋ねました。
葉天士はお体には問題ないが血が滞り脈が遅くいつ目覚めるかわからないと答えました。
純妃(じゅんひ)は話を聞くと庭に出ました。
傅恒(ふこう)は純妃(じゅんひ)に皇后の容態を尋ねました。
純妃(じゅんひ)は「葉先生もお手上げよ。天命を待つとおっしゃったわ。」と答えました。
傅恒(ふこう)は門から出て行きました。
かわって嫻妃(かんひ)が見舞に現れ純妃(じゅんひ)に容態を訪ねました。
嫻妃(かんひ)は純妃(じゅんひ)に「一緒に皇后様をお見舞いしましょう」と言いました。
純妃(じゅんひ)は嫻妃(かんひ)に一晩中長春宮にいたことを明かさず再び部屋について行きました。
御花園(ぎょかえん)の御景亭(おんけいてい)。
傅恒(ふこう)は海蘭察(ハイランチャ)と共に現場を調べました。
「普段は10匹程度なのに宴の晩だけ何千匹も出るのはおかしい。血豆腐をこぼした女官は?」
傅恒(ふこう)は言いました。
「混乱の最中欄干に頭を打ち付けて死んだ。蝙蝠が灯りを消したので大混乱になった。なぜ皇后様が転落したのか誰もわからぬ。」
海蘭察(ハイランチャ)は言いました。
「高貴妃(こうきひ)は?皇后様の一番近くにいた。」
傅恒(ふこう)は海蘭察(ハイランチャ)に尋ねました。
海蘭察(ハイランチャ)は高貴妃(こうきひ)は肩を脱臼したと答えました。
辛者庫(しんじゃこ)。
女官たちは水場で髪を洗ったり歯をみがいたりしていました。
「嫻妃(かんひ)様は皇后様より寛容よ。皇后様は贅沢を禁じたけど嫻妃(かんひ)様なら辛者庫(しんじゃこ)の私たちにも肉をくださるかも。」
女官の一人が言いました。
「皇后様はあなたの主でしょ?どうして冷静なの?血も涙もないと言われるだけあるわね。」
錦繍(きんしゅう)は灰を拾っている瓔珞(えいらく)に言いました。
「どうして私を恐れながら挑発してくるの?ただの嫌がらせなら仕事に戻りなさい。」
瓔珞(えいらく)は錦繍(きんしゅう)に言い返しました。
そこに劉女官(りゅうにょかん)が現れ錦繍(きんしゅう)に牛乳を儲秀宮(ちょしゅうきゅう)に早く運ぶよう命じました。
錦繍(きんしゅう)は何度も運ぶのは嫌なので瓔珞(えいらく)に運ばせればいいと言いました。
瓔珞(えいらく)は自ら牛乳の運搬を引き受けました。
劉女官(りゅうにょかん)は錦繍(きんしゅう)に草引きを命じました。
儲秀宮(ちょしゅうきゅう)。
瓔珞(えいらく)は手桶に一杯の牛乳を運びました。
芝蘭(しらん)が庭に出て来ました。
瓔珞(えいらく)は高貴妃(こうきひ)の風呂桶に牛乳を入れました。
「おい瓔珞(えいらく)。長春宮を追い出されて落ちぶれたわね。あの頃は美しかったのにずいぶんやつれたわね。私が手伝ってあげましょうか?」
高貴妃(こうきひ)は瓔珞(えいらく)の顎に触れると瓔珞(えいらく)の頭に牛乳を掛けました。
高貴妃(こうきひ)は高らかに笑いました。
「貴妃様に牛乳を貰って礼を言わないの?」
女官たちが瓔珞(えいらく)を抑えつけました。
芝蘭(しらん)は瓔珞(えいらく)の体に牛乳を掛けました。
高貴妃(こうきひ)は瓔珞(えいらく)の手を靴で踏みにじりました。
瓔珞(えいらく)は痛みに耐えました。
瓔珞(えいらく)は高貴妃(こうきひ)を睨むと高貴妃(こうきひ)はもっと強い力で瓔珞(えいらく)の手を踏みました。
雨が降りました。
乾隆帝は高貴妃(こうきひ)のところにやって来ました。
高貴妃(こうきひ)は慌てて瓔珞(えいらく)の手から靴をどけました。
芝蘭(しらん)は瓔珞(えいらく)に黙るよう命じました。
高貴妃(こうきひ)は肩が痛む振りをしながら皇帝を迎えました。
高貴妃(こうきひ)は瓔珞(えいらく)が牛乳をこぼしたので衣が濡れたと言いました。
乾隆帝は赤くなった瓔珞(えいらく)の手を見ました。
瓔珞(えいらく)は黙って部屋から出て行きました。
「見舞に来ただけだ。無事とわかれば帰る。李玉(りぎょく)。見舞を渡せ。」
乾隆帝は帰りました。
御花園(ぎょかえん)。
「陛下。何をお捜しなのですか?濡れてしまいます。」
李玉(りぎょく)は自らが濡れながら皇帝に傘をさしました。
乾隆帝は瓔珞(えいらく)を捜しました。
瓔珞(えいらく)は岩場の前でしゃがんでいました。
瓔珞(えいらく)は皇帝に気づくと土下座しました。
「哀れな振りはやめよ。朕は見え透いた芝居は嫌いだ。」
乾隆帝は瓔珞(えいらく)に言いました。
「とこかへ失せよ。」
乾隆帝は瓔珞(えいらく)に傘を与えて帰りました。
養心殿。
乾隆帝は養心殿に帰るも瓔珞(えいらく)の赤くなった手や雨に震える姿が気になり再び御花園(ぎょかえん)に行きました。
御花園(ぎょかえん)。
乾隆帝が瓔珞(えいらく)が震えていた場所に行くと、そこには傘が畳まれて置かれたままでした。李玉(りぎょく)は皇帝が与えた傘を瓔珞(えいらく)が使うことは禁じられていると説明しました。
「生まれながらの反骨者め。自業自得だ。李玉(りぎょく)。牛の乳で湯あみとは?」
乾隆帝は言いました。
「陛下・・・それは陛下のご歓心を買うための肌の養生かと存じます。」
李玉(りぎょく)は答えました。
「後宮で食す牛乳を湯あみに使うとは。内務府に伝えよ。牛の乳は位によって分け与え、私用を禁じる。」
乾隆帝は言いました。
夜。
瓔珞(えいらく)は道で倒れてしまいました。
通りがかった嫻妃(かんひ)は瓔珞(えいらく)を侍医に診せるよう命じました。
「嫻妃(かんひ)様だから助けてくれたんだぞ?嫻妃(かんひ)様は紫禁城で最も徳の高いお方だ。嫻妃(かんひ)様のご恩に感謝しろよ。」
太監は瓔珞(えいらく)を支えながら言いました。
次の日。
瓔珞(えいらく)は目覚めました。
袁春望(えんしゅんぼう)は劉さんが瓔珞(えいらく)を運ばせたと言いました。
「倒れたのだから正直に話せ。他の方だったらお前はのたれ死んでいたぞ。あんたを憎む高貴妃(こうきひ)のもとに行くなんて正気か?」
袁春望(えんしゅんぼう)は煎じ薬に息を吹きかけました。
「永遠に避けられると思う?そんなの不可能よ。」
瓔珞(えいらく)は言いました。
「薬を飲め。他の者は騙せても俺は騙せないぞ。わざと高貴妃(こうきひ)を怒らせただろ。理由を教えろ。正直に。」
「めまいがする。もうちょっと寝る。」
瓔珞(えいらく)は横になりました。
袁春望(えんしゅんぼう)は瓔珞(えいらく)の手に薬を塗ってあげました。
「強情だな。腹立たしい。お前を心配しているのは俺だけだぞ。自分を大切にしろ。わかったか?」
袁春望(えんしゅんぼう)はかいがいしくも額の布を交換して瓔珞(えいらく)の世話をしました。
錦繍(きんしゅう)はその様子を盗み見ると憎しみが込み上げて来ました。
太監は劉女官(りゅうにょかん)に耳打ちをしていました。その様子を傅恒(ふこう)と海蘭察(ハイランチャ)が見ていました。
「傅恒(ふこう)殿。何をしている?太監を使って辛者庫(しんじゃこ)の女官を買収しただろ。清廉潔白なお前が瓔珞(えいらく)のために信念を曲げるのか?あのおなごに手加減せよと連絡したんだろ。」
海蘭察(ハイランチャ)は傅恒(ふこう)に言いました。
寿康宮(じゅこうきゅう)。
高貴妃(こうきひ)は皇太后に挨拶して、皇后の力になれなっかったことを悔やみました。
皇太后は高貴妃(こうきひ)を許しました。
高貴妃(こうきひ)は皇太后の誕辰を主催したいと言いました。
皇太后はまだ半年先の誕生日をこんな時に祝いたくないと言いました。
高貴妃(こうきひ)は役者を呼んで後宮の憂さを晴らしたいと言いました。
そこに嫻妃(かんひ)が挨拶にやって来ました。
皇太后は嫻妃(かんひ)の堀の運用を認めました。
嫻妃(かんひ)は堀で育てた蓮の葉と菱の実を売って魚と鳥の餌を飼育すると言いました。
高貴妃(こうきひ)はいくらかかるのか嫻妃(かんひ)に尋ねました。
嫻妃(かんひ)はひとつ蓮の畑を貸し出すだけで125両9銭の地代を得られると答えました。嫻妃(かんひ)は次々と論理的に事業の説明を行いました。衣食の費用を二割削って後宮が善行の手本を見せるべきと言いました。
感想
瓔珞(えいらく)30話の感想です。今回はありましたね!男版「胸キュンシーン」が!乾隆帝が傷ついた瓔珞(えいらく)の手を見て気にかかるものがあったのでしょう。皇帝が雨の中、乙女の女奴婢を捜しに行くとはまさに胸キュン場面以外の何物でもありません(笑)
傅恒(ふこう)も瓔珞(えいらく)のために太監と劉女官(りゅうにょかん)を買収しました。
袁春望(えんしゅんぼう)は何を考えているのかわからない男ですが、やたら世話がいいですね。袁春望(えんしゅんぼう)が男前なのかどうかまだ未知数ですが、瓔珞(えいらく)とどんな関係になっていくのか新しい楽しみが増えました。
いよいよ嫻妃(かんひ)が頭角を現してきました。純妃(じゅんひ)は何考えているのかわからないですね。一瞬、純妃(じゅんひ)の過去らしき場面がありましたが、お母さんでしょうか?何かトラウマらしき映像がありました。
高貴妃(こうきひ)は相変わらずマイペースで意地悪を繰り返しています。
次回が気になります!
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