瓔珞(えいらく)41話 友の苦しみ
目次
あらすじ
乾隆帝は金川の戦いで破れた訥親(ナチン)に怒りを覚えました。重臣たちは皇帝に鎮まるよう土下座しました。訥親(ナチン)は乾隆帝が敵の戦力を分散させるように命じた作戦を無視して総督の張広泗(ちょうこうし)と対立して軍に損害を与えました。乾隆帝はもはや訥親(ナチン)を生かしておけぬと怒りました。
張廷玉(ちょうていぎょく)は軍機処の重臣として今も戦っている訥親(ナチン)を擁護しました。
乾隆帝は臆病者で愚か者の訥親(ナチン)の朝帽の羽飾りを没収して捕らえる勅命を下しました。
張廷玉(ちょうていぎょく)はいったん軍を引き上げようと上奏しました。
「撤退だと?大清国の国土は祖先の血と汗の賜物だぞ。今兵を引き上げれば将兵の死が無駄になる。西南の民に安住の地を与えぬつもりか?朕は歴代の皇帝に顔向けできなくなる。張廷玉(ちょうていぎょく)よ。そちは老いて頭が鈍くなったようだな。皆に訊く。訥親(ナチン)に代わり兵を率いる者は?そちらは軍機大臣だろう。普段は政治や軍事について大きな事を言っておきながら国の一大事では怖気づくのか?気概を見せよ!」
乾隆帝は怒鳴りました。
「陛下。この傅恒(ふこう)が参ります。」
富察傅恒(フチャふこう)が立ち上がりました。
「金川の気候は厳しく莎羅奔(サラベン)は冷酷だ。明の支持者と結託して我らの軍を敗北へ導いた。犠牲は多く軍に大きな損害が出た。西南に詳しい張広泗(ちょうこうし)でも敗れたのだぞ。考え直すべきだ。」
張廷玉(ちょうていぎょく)は傅恒(ふこう)に言いました。
富察傅恒(フチャふこう)は身を粉にして戦う意欲を見せました。
富察家。
爾晴(じせい)が傅恒(ふこう)の刀を抜こうとしていました。侍女の杜鵑(とけん)は懸命にそれを阻止していました。
傅恒(ふこう)が部屋に入って来ました。
杜鵑(とけん)は「傅恒(ふこう)様が金川に行くなら奥様は自害するおつもりです」と訴えました。
「傅恒(ふこう)。冷たいわね。私はあなたの身を案じているのよ?」
「私の心配を?あなたは自分が寡婦になるのが怖いのだろう。私が死ねば名誉も富貴も失うからな。違うか?」
「腕を斬ってでも引き止める!」
爾晴(じせい)は傅恒(ふこう)に刀を振り降ろしました。
傅恒(ふこう)は爾晴(じせい)を止めました。
爾晴(じせい)は軟禁を解いて欲しいと頼みました。
「腹の子のためにあなたを生かすのではない。あなたに負い目があるゆえ情けをかけるよう努めているのだ。だがあなたを見ていると少しの我慢も嫌になる。今後あなたがこの家から出て行くことを禁止する。一歩でもそとにでれば、左足から出れば左足を、右足から踏み出れば右足を切る。」
「正気なの?陛下に確かめたの?」
「ふっ。陛下とは十年来の付き合いだ。陛下の人柄はあなたよりよく知っている。あなたは美しい。しかし私の妃となり富察家に入ったあなたには指一本触れることはない。あなたが汚い手を使って身籠ったのは事実だ。私の帰りでも祈ってろ。もし帰らねばそこの尼寺で一生暮らすんだな。」
傅恒(ふこう)は爾晴(じせい)の部屋から出て行きました。
傅恒(ふこう)ほ書房。
傅恒(ふこう)は書物を読んで勉強していました。清蓮(せいれん)は茶を差し出し傍に侍っていました。清蓮(せいれん)は本当に金川に赴くのか傅恒(ふこう)に尋ねました。清蓮(せいれん)は傅恒(ふこう)のお母さんが心配のあまり床に伏していると打ち明けました。
「戦死をおそれていたら兵法を学び官吏になる意味がない。戦地で私の実力を発揮する。高い俸禄を受ける高官なら当然だ。母上にこう伝えてくれ。志をもって戦う傅恒を許してくれと。」
傅恒(ふこう)は言いました。
清蓮(せいれん)は富察容音(ふちゃようおん)を失ったお母上のことをもっと気遣って欲しいと頼みました。
傅恒(ふこう)は何も言わずに馬で出かけて行きました。
魏瓔珞(ぎえいらく)は富察皇后(ふちゃこうごう)の陵墓の庭を掃除していました。
「考え事か?掃除は終わったのか?飯を食おう。」
袁春望(えんしゅんぼう)は瓔珞(えいらく)の手を引き食事に行きました。
庭の大きな岩の陰から傅恒(ふこう)が顔を出しました。
冬になりました。
袁春望(えんしゅんぼう)は瓔珞(えいらく)の肩を揉んであげました。
瓔珞(えいらく)は袁春望(えんしゅんぼう)と仲良く過ごしました。
春になり、また時が経ちました。
瓔珞(えいらく)が菊の鉢植えを運んでいると袁春望(えんしゅんぼう)が代わりに持ってあげました。二人は花いっぱいの庭を作りました。
紫禁城の皇太后の寝殿。
皇太后は乾隆帝を部屋に呼びました。皇太后は嫻皇貴妃(かんこうきひ)自らが名付けた亀齢集(きれいしゅう)の処方を持ってくるよう侍女に命じました。皇太后は金川の戦をめぐって昼夜を問わずに重臣たちと協議している皇帝を気遣って33種の薬を配合した長寿の秘薬を贈りました。皇太后は李玉(りぎょく)に薬を渡すと皇帝に欠かさず飲ませるよう命じました。
皇太后は皆から尊敬されている嫻皇貴妃(かんこうきひ)の徳の高さを褒めたたえ、夜を寂しくさせないように言いました。皇太后は暗に嫻皇貴妃(かんこうきひ)を皇后の座に就けるよう息子に言いました。皇太后はいつまでも皇后の位を空席にしておけないと言いました。
乾隆帝は嫻皇貴妃(かんこうきひ)を皇后にする話を聞きいれました。
嫻皇后(かんこうごう)が冊封されました。輝発那拉(ホイファナラ)氏淑慎(しゅくしん)は皇后になりました。
「皇后様。長年の苦労が報われましたね。」
珍児(ちんじ)は皇后に言いました。
「おかしな子ね。おめでたい時に泣く子がいますか?」
嫻皇后(かんこうごう)は言いました。
「そうですね。お祝いの日には、笑顔でいるべきです。」
珍児(ちんじ)は言いました。
「涙で化粧が台無しよ。出直してらっしゃい。」
嫻皇后(かんこうごう)は優しく言いました。
珍児(ちんじ)は部屋から出て行きました。
「お母さま。私はもう無能な娘ではありません。皇后になりました。後宮の主であり国の母であり、お母さまが皇后の母だと誰もが知っています。これで誰にも見下されないし貧乏暮らしを縁が切れ、誰にも後ろ指を指されることはありません。喜んでください。私は皇后です。いらしてください。お母さまに私の晴れ姿を見て頂きたいのです。この豪華な衣に触れてほしい。お母さま。私を抱き締めてください。お母さまに、お会いしとうございます。」
嫻皇后(かんこうごう)は鏡を見て泣きました。
「これからは、この輝発那拉(ホイファナラ)淑慎(しゅくしん)が大清国の皇后なの。輝発那拉(ホイファナラ)氏は陛下の次に天下に立つのよ。」
嫻皇后(かんこうごう)は笑いました。
円明園。
張総管(そうかん)は女官と太監らを一列に並ばせると皇帝が来るので勤政殿(きんせいでん)の掃除などを命じていました。総管は瓔珞(えいらく)と袁春望(えんしゅんぼう) たち四人に湖の裏手の草を抜くよう命じました。万寿節(皇太后の誕生日)は裏手の庭で行われる予定でした。
瓔珞(えいらく)は純貴妃(じゅんきひ)付きとなった明玉(めいぎょく)に会えることを楽しみにしていました。瓔珞(えいらく)はこの数年間、明玉(めいぎょく)と文通していたのに手紙が途絶えたと袁春望(えんしゅんぼう) に打ち明けました。
乾隆帝は皇太后と嫻皇后(かんこうごう)たちを連れて円明園に行きました。乾隆帝は皇太后に「東側に長春園を作りました・・・」と説明をしていました。純貴妃(じゅんきひ)は愉妃(ゆひ)に話しかけました。
瓔珞(えいらく)は明玉(めいぎょく)に話しかけました。明玉(めいぎょく)は戸惑いを隠せませんでした。そこに純貴妃(じゅんきひ)蘇氏(そし)と愉妃(ゆひ)が現れました。瓔珞(えいらく)は純貴妃(じゅんきひ)に挨拶しました。純貴妃(じゅんきひ)は瓔珞(えいらく)に明玉(めいぎょく)と親交を温める許しを与えました。しかし明玉(めいぎょく)は荷物を片付けねばならないと言って断りました。
「あながは威張っていたから皆我慢していただけ。円明園に来てからも私に指図するつもり?私はもう言いなりにならないわ。」
明玉(めいぎょく)は暗い表情で言いました。
「瓔珞(えいらく)。嫌がっているのにやめなさい。純貴妃(じゅんきひ)様。牡丹の花を見に行きましょう。」
愉妃(ゆひ)珂里葉特(けりえて)氏は言いました。
「私もお供いたします。」
明玉(めいぎょく)は緊張した様子で言いました。
「明玉(めいぎょく)?」
瓔珞(えいらく)は不思議に思いました。
夜。
瓔珞(えいらく)は明玉(めいぎょく)が変貌した原因を考えていました。袁春望(えんしゅんぼう) は「あいつは腹の底でお前を嫌っていたんだよ。自業自得だ。」と言いました。瓔珞(えいらく)は明玉(めいぎょく)の正直な性格からそれは考えられないと言いました。瓔珞(えいらく)は愉妃(ゆひ)も以前のように弱弱しくなくなったと言いました。
「愉妃(ゆひ)が純貴妃(じゅんきひ)になびくのは当然だ。この話はやめよう。食べろ。明日は朝早くから仕事だぞ。」
袁春望(えんしゅんぼう) 瓔珞(えいらく)の口に食べ物を押し込むと、髪に簪を差してやりました。
「少しはおしゃれしろ。気に入ったか?」
「兄さん。散財しちゃだめよ。皇后様が飾り物を下さったわ。」
瓔珞(えいらく)は言いました。
「し~っ。皇后様の話はやめておけ。時代は変わったんだ。輝発那拉(ホイファナラ)氏が新しい皇后と肝に銘じろ。」
袁春望(えんしゅんぼう) は瓔珞(えいらく)の口を押さえました。
明玉(めいぎょく)は女官の最後尾に続いて盆を運んでいました。
「何があったの?話してちょうだい。鍾粋宮(しょうすいきゅう)で純貴妃(じゅんきひ)にいじめられているの?」
瓔珞(えいらく)は明玉(めいぎょく)に密かに会いました。
「まさか。うまくやってるわ。私は純貴妃(じゅんきひ)様のお世話係であなたは円明園の雑用係よ。身分が違うの。あなたにはもう会いたくない。」
明玉(めいぎょく)は帰ろうとしました。
「待って。怪我をしてるの?見せて。」
「大丈夫だからほっといて。」
「なぜ痛がるの?明玉(めいぎょく)。純貴妃(じゅんきひ)の仕業ね。私を避けろと脅されたんでしょ。会ってくる。」
「瓔珞(えいらく)。純貴妃(じゅんきひ)様は人が変わってしまったの。瓔珞(えいらく)。純貴妃(じゅんきひ)に気を付けて。危険だわ。帰りが遅いと見つかるわ。瓔珞(えいらく)。純貴妃(じゅんきひ)は絶対にあなたを許さない。」
明玉(めいぎょく)は怯えながら去りました。
「瓔珞(えいらく)さん。なぜあの子を追い回すの?」
玉壺(ぎょくこ)が瓔珞(えいらく)の前に現れました。
「玉壺(ぎょくこ)さん。明玉(めいぎょく)に何をしたの?明るいあの子があんなに怯えているなんて。純貴妃(じゅんきひ)が陰で虐待しているのね。以前は富察皇后の顔色を窺い今では長春宮ゆかりの者たちに酷いことをしている。純貴妃(じゅんきひ)様は何か企んでいるに違いないわ。」
瓔珞(えいらく)は言いました。
玉壺(ぎょくこ)は瓔珞(えいらく)を脅しました。
瓔珞(えいらく)は脅しに負けませんでした。
「それでも命があればいいけどね。」
玉壺(ぎょくこ)はつぶやきました。
二人の太監が部屋に新ニュし、布団に刀を何度も叩きつけました。
「誰か来て~!不審者がいるわ~!」
瓔珞(えいらく)が別の場所から叫びました。
すぐに別の太監たちが現れ不審者を捕らえました。
袁春望(えんしゅんぼう)は刃物を持った男の背を蹴り倒しました。
「円明園で狼藉を働くとは何者なんだ?」
張総管は驚きました。
「総監。陛下の命を狙ったに違いありません。ここに迷い込んだのでは?」
瓔珞(えいらく)は言いました。
「ただの物取りです。」
捕らえられた太監は言い訳しました。
「泥棒に匕首(ひしゅ)は不要だ。」
袁春望(えんしゅんぼう)は言いました。
「こやつらを連れて行け。」
張総管が命じると不審者たちは連行されました。
「なぜ大声を出した。陛下に気づかれたら御前侍衛(ごぜんしえい)に殺されてたぞ。」
張総管は瓔珞(えいらく)に尋ねました。
「陛下に知らせるために瓔珞(えいらく)は声を出したのです。奴らの手には匕首(ひしゅ)がありました。」
袁春望(えんしゅんぼう)は瓔珞(えいらく)を擁護しました。
「戻れ。全員戻れ。」
張総管は部屋から出て行きました。
「なぜ嘘を?俺の目は欺けないぞ。奴らはお前を殺そうとした。」
袁春望(えんしゅんぼう)は瓔珞(えいらく)に言いました。
「そう。私を殺そうとしたのよ。貴妃の手先なら簡単に自白しない。死を覚悟しているはずよ。刺客として罰せられただけでも十分よ。」
瓔珞(えいらく)は言いました。
「黒幕は誰か教えてくれ。」
袁春望(えんしゅんぼう)は尋ねました。
朝の長春仙館。
乾隆帝は富察皇后(ふちゃこうごう)の霊廟に行きました。部屋には美しい肖像画が掛けられていました。李玉(りぎょく)は富察皇后(ふちゃこうごう)が好きだった茉莉花の造花も供えてあると言いました。
「茉莉花のない時期には紙や絹で造花を飾り、香り粉をつければ本物のようになります。」
瓔珞(えいらく)は説明しました。
「あの菓子は皇后が存命のときに好んでいた物だ。色が違うようだが?」
乾隆帝は尋ねました。
「毎日新しい物を作り熱いうちに供えています。皇后様のことを決して忘れていません。」
李玉(りぎょく)は答えました。
「硬すぎるぞ。作ったのは誰だ?」
乾隆帝は言いました。
「おそれながら陛下。私でございます。」
瓔珞(えいらく)は跪きました。
「瓔珞(えいらく)。これは菓子か?石みたいに硬いぞ。」
乾隆帝は言いました。
「おい瓔珞(えいらく)。不出来な菓子を供えるとはどういうつもりだ?」
李玉(りぎょく)は小さな声で言いました。
「皇帝陛下に申し上げます。昨夜皇后様が夢に現れ餅菓子を所望されました。しかし円明園の料理人は皇后様の味の好みを知らぬためかわりに私がお作りしました。」
瓔珞(えいらく)は言いました。
「不細工な菓子を作りおって。」
乾隆帝は言いました。
「皇后様は菓子をいつも明玉(めいぎょく)に作らせていたので私は手伝いしかできないのです。陛下。ご期待に添いたいのですが私には能がありません。」
瓔珞(えいらく)は言いました。
純貴妃(じゅんきひ)は明玉(めいぎょく)を呼び出しました。
「明玉(めいぎょく)。昨夜はどこへ行っていたの?」
純貴妃(じゅんきひ)は意地悪そうに尋ねました。
「手巾を作っておりました。」
明玉(めいぎょく)は怯えながら答えました。
「本当に?」
「私は嘘を申しません。お許しください。」
明玉(めいぎょく)は釈明しました。
すると、玉壺(ぎょくこ)が純貴妃(じゅんきひ)に耳打ちしました。
「やることが姑息ね。さすが魏瓔珞(ぎえいらく)だわ。二人の手の者を片付けてしまうとは。」
純貴妃(じゅんきひ)は言いました。
「瓔珞(えいらく)の悪だくみにはお気を付けください。」
玉壺(ぎょくこ)は言いました。
「どんなに悪賢くても先のことは読めないはずよ。間者がいない限りはね。」
純貴妃(じゅんきひ)は言いました。
「貴妃様。私ではございません!お許しください!」
明玉(めいぎょく)は命乞いをしました。
その時、皇帝の勅命を持ってきた李総監が部屋に入って来ました。
純貴妃(じゅんきひ)は明玉(めいぎょく)に何も言わないよう命じました。
李総監は明玉(めいぎょく)を長春仙館へ派遣するよう言いました。
「明玉(めいぎょく)は私の世話をしているゆえ陛下のもとへ行かせるのは心もとないわ。」
純貴妃(じゅんきひ)は言いました。
「陛下のご命令ですので純貴妃(じゅんきひ)様でもお断りできません。明玉(めいぎょく)や。陛下がお待ちだぞ。」
李玉(りぎょく)は命じました。
明玉(めいぎょく)は黙って李玉(りぎょく)の後について行きました。
玉壺(ぎょくこ)は純貴妃(じゅんきひ)に命令を求めました
純貴妃(じゅんきひ)は「明玉(めいぎょく)は鍾粋宮(しょうすいきゅう)の女官らからすぐに戻ってくるわ」と言いました。
長春仙館。
李玉(りぎょく)は明玉(めいぎょく)に餅菓子を作るよう命じると、部屋から出て行きました。瓔珞(えいらく)は明玉(めいぎょく)に事情を尋ねました。明玉(めいぎょく)は震える右手を差し出しました。
「行こう。陛下に見せるわ。」
「ダメ。できない。」
「侍医を呼ぶわ。」
「だめよ瓔珞(えいらく)。」
明玉(めいぎょく)は震えました。
瓔珞(えいらく)は自分の腕を包丁で少し斬りました。
瓔珞(えいらく)は明玉(めいぎょく)を葉天士に診せました。
葉天士は丸薬を処方しました。
しばらくすると、明玉(めいぎょく)は震えだしました。
葉天士は針を抜き取りました。
「恐ろしい。この針が脳に達したら誰にも救えません。誰がこんなひどいことを?体内に入った銀針は体中を巡り生き地獄の痛みをもたらします。」
葉天士は瓔珞(えいらく)に言いました。
瓔珞(えいらく)は葉天士に口止めを求めました。
葉天士は八本の針を取り出したが残った針が臓腑に届く可能性があると言いました。
「明玉(めいぎょく)さん。処方した薬を毎日飲めばよくなりますよ。」
葉天士は明玉(めいぎょく)を励まして帰りました。
瓔珞(えいらく)は明玉(めいぎょく)に本当は何があったか尋ねました。
感想
瓔珞(えいらく)41話の感想です。なんと酷いお話なのでちょう。中国の人はよくこんな残酷なストーリーを思いついたものです。富察皇后(ふちゃこうごう)の皇子を暗殺した純妃(じゅんひ)は、明玉(めいぎょく)が玉壺(ぎょくこ)が太監を色気で懐柔したところを目撃し、密かに殺そうとしていたのです。明玉(めいぎょく)は自分が犯行場面を目撃したせいで虐げられているとは気が付いていませんでした。瓔珞(えいらく)はここで純妃(じゅんひ)が皇后様を追い詰めたことを悟りました。
円明園での日々もつかの間、また新しい展開になりそうです。
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