スキップしてメイン コンテンツに移動

瓔珞(えいらく)59話 あらすじと感想 妖魔か転生の公主か 順嬪(じゅんひん)を排除しようと嫻皇后たちが...中国ドラ

瓔珞(えいらく)59話 妖魔か転生の公主か

瓔珞(えいらく)59話 のあらすじと感想

目次

あらすじ

乾隆帝は訓練所で片手銃の試し撃ちをしながら富察傅恒(ふちゃふこう)に話しかけました。陳鳴夏(ちんめいか)が以前皇帝に銃を献上しましたたが傅恒が献上したこたびの銃に及びませんでした。傅恒が献上した銃は射程距離が長く照準も正確なので武備院(ぶびいん)に模造品を作るよう皇帝は命じました。傅恒は張廷玉(ちょうていぎょく)の息子が父の霊を故郷に連れ帰りたいと皇帝に伺いを立てました。乾隆帝は先帝の遺詔(いしょう)に従い張廷玉(ちょうていぎょく)を太廟(たいびょう)に祀る勅命を出しました。傅恒は張氏にかわり土下座して礼を述べました。

乾隆帝は玉座に腰かけると、自分が即位してから十四年以降は張廷玉(ちょうていぎょく)を批判し劉統勳(りゅうとうくん)の刻苦(励みぶり)と対照的だと思いますます嫌悪していました。

「二人とも同じ臣下だ。一人は血を吐いて国に貢献しもう一人は己の栄華のみを望んだ。張廷玉(ちょうていぎょく)とは長く争っていたがこんなに早くに逝くとは。悔いがある。」

乾隆帝は言いました。

傅恒は張氏も満足するはずだと言って慰めました。

乾隆帝は傅恒に円明園に行ったことについて尋ねました。

傅恒は皇太后は礼拝中で会えなかったが令妃(れいひ)に会えたと答えました。

「愛必達(アイビダ)殿の御息女が入内されたとお知らせしたのでもうすぐ紫禁城に戻られると思います。」

傅恒は言いました。

乾隆帝はそっけない振りを装いました。

傅恒は今から上奏の票擬(ひょうぎ)をするので後ほど重要な事項を報告すると言って帰ろうとしました。

乾隆帝は傅恒を呼び止め福康安(フカンガ)を皇子と共に学ばせるよう命じました。


夜の延禧宮(えんききゅう)。

侍医の張院判(ちょういんはん)が庭に出ると乾隆帝がやって来ました。侍医は令妃(れいひ)が不眠と胃痛の症状を示しているので香蘇和胃湯(こうそわいとう)で治療していると答えました。張院判(ちょういんはん)は食事の乱れが原因だと指摘しました。明玉(めいぎょく)は円明園に行っても令妃(れいひ)が華厳経の写経を続けていたので疲れと血の不足で食欲が落ち胃が乱れたと釈明しました。

瓔珞(えいらく)の部屋。

「明玉(めいぎょく)。二十巻が完成したから円明園に届けさせてちょうだい。」

瓔珞(えいらく)は疲れた様子で言いました。

乾隆帝は瓔珞(えいらく)の背後にいました。

瓔珞(えいらく)が振り返ると乾隆帝は視線をそらしました。

「陛下。なぜこちらへ?」

「挨拶はよい。病ゆえ無理はするな。」

「陛下のお心づかいに感謝いたします。」

「手をどうしたのだ。」

「ああ。何でもありません。血を採った痕です。」

「すぐに写経をやめよ。命令だ。」

「陛下。私は陛下のご命令に従えません。八十巻を完成させると皇太后様にお約束したのです。」

「・・・・・・。朕は、そなたのことは心配しておらぬ。だが皇太后への忠心に免じて注意しておこう。続けるならやめろと言わぬ。だがすべてはそなたの責任だ。皇太后の前でも他人のせいにするな。」

乾隆帝は椅子に腰かけ偉そうに言いました。

「わかりました。陛下は約束を覚えておいでですか?私を誰にも虐げさせぬと仰せでした。今夜の御来臨は誰もが存じています。このままお帰りになられては立場がありません。皇宮に私の居場所がなくなります。」

「朕は、ここに留まる。そなたの体面のためだ。それ以外に理由は無い。」

乾隆帝はいったん庭に出ました。

「李玉(りぎょく)。偏殿(へんでん)を準備せよ。今夜はここにいる。」

乾隆帝が言うと明玉(めいぎょく)の表情が明るくなりました。

乾隆帝は寝床に仰向けになりました。

しばらくすると、乾隆帝の寝床に瓔珞(えいらく)がやって来ました。

乾隆帝は目を覚ますと布団の中に瓔珞(えいらく)が潜り込んでいました。

「ふぁんしゃぁ。寝殿にネズミが出るので怖いのです。ふぁんしゃ。靴を履いていないので足が冷えます。ふぁんしゃ!」

瓔珞(えいらく)は乾隆帝に抱き着きました。

「魏瓔珞(ぎえいらく)。私はそなたを赦してないぞ。出て行け。」

乾隆帝は言いました。

「嫌です。」

瓔珞(えいらく)は乾隆帝に口づけをして抱き着きました。

「陛下。怖かったから避妊薬を飲んだのです。」

「何が怖いのだ。」

「死です。」

「朕にはわからぬ。」

「子を産むのは命がけの仕事です。わがままなことですが死が怖いのです。私の母のように難産だったら死ぬかもしれません。とても怖くて耐えられません。だから葉先生に薬を頼みました。陛下。私は産む有機がないのです。母になる準備ができてません。」

「なぜ今まで黙っていた。」

「母の死を、皆が褒めました。命がけで子を産んだと。おなごが生きる意味は子を産むだけですか?他に意味はないのですか?陛下。このような話をすればおかしいと思いますよね。」

瓔珞(えいらく)は涙を流しました。

「わかった。そなたが望まぬなら無理は言わぬ。」

乾隆帝は静かに言いました。

「陛下。まだ怒っていますか?」

「わかっているだろう。朕が怒っているのはそのことではない。」

「なんの怒りでも過ぎたことです。陛下。ご機嫌を直してください。」

瓔珞(えいらく)は乾隆帝に口づけをしました。

二人は寝台で一緒に眠りました。

「瓔珞(えいらく)。朕が一番知りたいことをなぜ答えてくれぬのだ。」

乾隆帝は瓔珞(えいらく)の頬を指で撫でました。

翌朝。

瓔珞(えいらく)は目覚めました。

乾隆帝は既に帰っていました。

明玉(めいぎょく)は皇帝の寵愛が戻り喜んでいました。

「今回ばかりはそうはいかないわ。」

瓔珞(えいらく)は仰向けに寝そべりました。

小全子(しょうぜんし)が部屋に入って来て皇帝は麗景軒(れいけいけん)で順嬪(じゅんひん)と朝食を食べていると報告しました。


妃嬪(ひひん)の会合。

瓔珞(えいらく)は嫻皇后(かんこうごう)に挨拶しました。。

皇后輝発那拉(ホイファナラ)氏は瓔珞(えいらく)を歓迎しました。

舒妃(じょひ)と嘉妃(かひ)は瓔珞(えいらく)のことが気に入りませんでした。

皇子を出産し昇格した嘉妃(かひ)はさっそく嫌味を言いました。

舒妃(じょひん)は「今は共通の敵を持つ身だわ。協力しなければ。」と言いました。

「令妃(れいひ)様。過去の無礼はお赦しください。」

舒妃(じょひ)は謝りました。

「今やあなたも妃なのよ。礼を言う必要はないわ。」

瓔珞(えいらく)は舒妃(じょひ)を立たせました。

嫻皇后(かんこうごう)は三人に話しに加わるよう言いました。

舒妃(じょひ)は皇帝が順嬪(じゅんひん)を玉のように大切にしかつての令妃(れいひ)以上の寵愛の深さだと言いました。

嘉妃(かひ)は皇后の考えを尋ねました。

嫻皇后(かんこうごう)は寵愛についてはとやかく言えないが順嬪(じゅんひん)は立場をわきまえずにふしだらな歌舞を陛下に見せて籠絡(ろうらく)していると言いました。

舒妃(じょひ)はどうすればよいか皇后に尋ねました。

嫻皇后(かんこうごう)は三人の協力があれば舒嬪(じょひん)の懲罰を恐れず行うことができると言いました。

瓔珞(えいらく)は自分を振り返る嘉妃(かひ)に微笑みかけました。


帰り道。

明玉(めいぎょく)は瓔珞(えいらく)に本当に協力するのか尋ねました。

瓔珞(えいらく)は皆の様子を探り順嬪(じゅんひん)の本性を見破りたいと言いました。


延禧宮(えんききゅう)。

瓔珞(えいらく)は茶を飲みながら順嬪(じゅんひん)の歩き方を指導していました。

「陛下は欲しい物を何でも下さる。でも私はこの宮殿を出たいの。皇宮の赤い壁や瑠璃瓦は威圧感があるわ。気が滅入ると麗景軒のあたりを馬で当てもなく散歩するの。すると陛下と出会う前に戻った気がするの。」

順嬪(じゅんひん)はよろめきました。

明玉(めいぎょく)は歩き方を指導しました。

「瓔珞(えいらく)。宮殿の外に出たいと陛下に言ったら赦してくれると思う?」

順嬪(じゅんひん)はなれなれしく尋ねました。

瓔珞(えいらく)は茶を飲み終えると部屋から出て行こうとしました。

順嬪(じゅんひん)は瓔珞(えいらく)のもとに寄ろうと思って一緒に倒れてしまいました。

「瓔珞(えいらく)。大丈夫?ごめんなさい。でもこの花盆底(かぼんてい)の靴に慣れてなくて。」

順嬪(じゅんひん)は言いました。

明玉(めいぎょく)は玉の飾りを披露と順嬪(じゅんひん)に返そうとしました。

瓔珞(えいらく)は飾りを見させてもらいました。

順嬪(じゅんひん)の侍女は陛下が手ずからお堀りになったと言いました。

「静影沈璧(ちんえいちんへき)と書いてあるけど詩には疎くて。どういう意味なの?」

順嬪(じゅんひん)は言いました。

「陛下は璧玉(へきぎょく)のように美しいとあなたをお褒めになったのよ。今日は疲れたわ。また明日来て頂戴。」

瓔珞(えいらく)は答えました。

「瓔珞(えいらく)。怒ってるの?この玉佩(ぎょくはい)のせい?」

順嬪(じゅんひん)は尋ねました。

「それ以前にあなたが嫌いなの。」

瓔珞(えいらく)は言いました。

「私のことが嫌いならとっくに追い出しているはずよ。好意的に思っているから話を聞いてくれたと思う。あなたとお近づきになるのに他意はないわ。ただ寂しかっただけなの。この玉佩(ぎょくはい)も見せびらかすつもりじゃなかった。」

順嬪(じゅんひん)は言いました。

瓔珞(えいらく)は小全子(しょうぜんし)を呼び順嬪(じゅんひん)を帰らせました。


帰り道。

「遺珠(いじゅ)。どうして余計な事を言ったの?」

順嬪(じゅんひん)は侍女に尋ねました。

「玉佩(ぎょくはい)は確かに陛下から贈られました。本当の事を言ったまでです。」

遺珠(いじゅ)は答えました。

「でもあの場で言えば自慢してると思われるわ。」

「令妃(れいひ)ははじめから教える気はないのです。どうして延禧宮(えんききゅう)に行かれたのですか?」

「令妃(れいひ)が好きなの。」

「順嬪(じゅんひん)様に笑顔すらお見せにならないのに何がいいのですか?」

「仏頂面の善人のほうが笑顔で意地悪な女よりいいわ。」

「どういう意味ですか?」

「お前には一生わからないわ。」

順嬪(じゅんひん)の行く先に黒い猫がいました。

順嬪(じゅんひん)は猫の前にしゃがむと餌をあげました。

遺珠(いじゅ)は妃らしくない行為と苦言を呈しました。

延禧宮(えんききゅう)。

瓔珞(えいらく)は袁春望(えんしゅんぼう) に和安公主(わあんこうしゅ)の命日の法要に必要な物資は慶嬪(けいひん)が手配したものが内務府に届くので料理、菓子、奶茶(ダイチャ)に酒、季節の果物を指示通りに用意し経をあげるときの喇嘛(ラマ)について指示をしようとしました。

「瓔珞(えいらく)。喇嘛(ラマ)を呼ぶのは皇帝と皇后の法要だけだ。それ以外の時に呼ぶ掟はない。内務府が認めても御史(ぎょし)は黙ってないぞ。お前が非難される。」

袁春望(えんしゅんぼう) はため口で言いました。

「袁総管。なぜ私を名前で呼ぶの?袁総管。あなたが裏切った時からもう兄さんじゃない。ただの奴婢よ。覚えておきなさい。」

瓔珞(えいらく)は言いました。

「はい。」

袁春望(えんしゅんぼう)はすぐに従いました。

「喇嘛(ラマ)を呼んだ慣例はないわ。皇太后様がお望みなのよ。墓前に供える今日は喇嘛(ラマ)に。宮中の法要は薩満(サマン)様にお願いするわ。このようなことで令妃(れいひ)を煩わせるとは。下がりなさい。」

嫻皇后(かんこうごう)と珍児(ちんじ)が部屋に入って来て袁春望(えんしゅんぼう)に命じました。

袁春望(えんしゅんぼう)は部屋から出て行きました。

「皇后様。私はご来訪に気づかず皇后様に失礼いたしました。」

瓔珞(えいらく)は謝りました。

「皇太后様のご指名で法要を主催するのは大変ね。でもすべて抜かりなく準備できているわ。皇太后様のお気持ちを理解しているからできることなの。」

嫻皇后(かんこうごう)は瓔珞(えいらく)の手を取り言いました。

「身に余るお言葉です。私も入念に準備しておりますが皇太后様がお喜びになるかどうか。皇后様からご助言いただけますか?」

瓔珞(えいらく)は返しました。

「気になる点はないと思うけど、皇太后様は仏花を祭壇に置いて焚かれると喜ばれると思うわ。」

「仏花ですか?」

「毎年の年末には陛下がお供えになるの。陛下の妹御へのお気持ちを皇太后様が御覧になれば母子の仲も修復できるはずよ。」

「貴重なお言葉、皇后様に感謝します。そのようにいたします。」

「皇太后と順嬪(じゅんひん)は法要の時が初対面なの。あなたが紹介してちょうだい。」

嫻皇后(かんこうごう)は言いました。


寿康宮(じゅこうきゅう)の庭。

「瓔珞(えいらく)。どうしたの?」

明玉(めいぎょく)は瓔珞(えいらく)に尋ねました。

「皇后が手を下すわ。順嬪(じゅんひん)の身が危ない。」

瓔珞(えいらく)は言いました。

皇太后の部屋。

皇太后の御前に嫻皇后(かんこうごう)と嘉妃(かひ)、慶嬪(けいひん)、舒妃(じょひ)が集まりました。

慶嬪(けいひん)陸氏は皇太后に令妃(れいひ)が整えた品をご覧になるよう言いました。

「三年ぶりね慶嬪(けいひん)。そなたの貢献は令妃(れいひ)から聞いているわ。」

皇太后は言いました。

嘉妃(かひは)麗景軒が改築され夜通し歌や舞が聞こえ陛下が絶賛していることを話題に持ち出しました。

舒妃(じょひ)は順嬪(じゅんひん)が歌いながら服を一枚ずつ脱いでいって最後はあられもない姿で横たわると言いました。

「皇后。私がいない間にそんなことがあったの?なぜあなたが厳しく取り締まらなかったの?」

皇太后は言いました。

「皇后様お赦しください。陛下がご寵愛しているゆえ諫言することもままならず諫言は(皇后の)本分を超えるおそれがあるため様子を見ておりました。」

嫻皇后(かんこうごう)は膝を折って謝罪しました。

「陛下がそのようなおなごに惑わされるとは。あってはならぬこと。そなたは後宮を治める義務があるわ。淫らなおなごの存在を知っていながら責務を果たさず手をこまねいているとはけしからぬ。」

皇太后は怒りました。

「皇太后様のおっしゃる通りです。私は嫉妬深いと思われることをおそれておりました。しかし皇太后様がいらっしゃれば心強くなりました。すべては皇太后様の仰せの通りにいたします。」

嫻皇后(かんこうごう)は言いました。

「ふふふふふふ。よかろう。私を無用な菩薩像と言ったあの日があったのに崇められる日が来るとは思いもしなかったわ。皇后。そなたは後宮の主。どうするかは自分で考えなさい。」

皇太后は部屋から出て行きました。


承乾宮。

嫻皇后(かんこうごう)は袁春望(えんしゅんぼう)に法要の準備ができたか尋ねました。袁春望(えんしゅんぼう)はすべて準備が終わり、薩満(サマン)様も手配済みだと答えました。嫻皇后(かんこうごう)は袁春望(えんしゅんぼう)を下がらせました。

夜の延禧宮(えんききゅう)。

瓔珞(えいらく)は床に入りました。

明玉(めいぎょく)は順嬪(じゅんひん)から皇帝の寵愛を取り戻せないことを無念に思っていました。明玉(めいぎょく)は皇后の企みが成功すれば順嬪(じゅんひん)がいなくなるかもしれないので今回は傍観してはどうかと言い天蓋の布を閉じました。

瓔珞(えいらく)は順嬪(じゅんひん)が互いに素顔で向き合えたらどれだけ素晴らしいかという言葉を思い出していました。

法要の日。

「初めて皇太后様の宮殿に呼ばれて旗服(きふく)を着るのは当然の礼儀だわ。」

順嬪(じゅんひん)は靴底が高い靴を履いてバランスを取るのが精いっぱいでした。

遺珠は令妃(れいひ)の教え方が悪いので転べば恥になると順嬪(じゅんひん)に助言しました。

順嬪(じゅんひん)は悪いのは歩き方をしっかり身に付けなかった自分なので令妃(れいひ)の悪口を言わないように遺珠に命じました。


門。

令妃(れいひ)瓔珞(えいらく)は走って来て順嬪(じゅんひん)の手を引っ張りました。

「瓔珞(えいらく)。何するつもり?」

順嬪(じゅんひん)は驚きました。

「人助けよ。」

瓔珞(えいらく)は言いました。


赤い壁の大きな城壁の前。

「薩満(サマン)様のご到着です。」

侍衛(しえい)たちは一斉に跪きました。

馬車が城壁の門を通り抜けました。中には薩満(サマン)という女性が乗っていました。


寿康宮(じゅこうきゅう)。

法要が始まりました。

皇太后は緑色の数珠を手に一心不乱に祈っていました。

嘉妃(かひ)はあくびをこらえていました。

瓔珞(えいらく)は嘉妃(かひ)と舒妃(じょひ)と三人で横一列で正座し、厳しい表情で微動だにしませんでした。

「おかしいわよね。公主(皇太后の娘)の法要にどうして妃嬪(ひひん)が参列しなければいけないのかしら。早死にした小姑の供養が私たちの役目というの?」

嘉妃(かひ)はつぶやきました。

「陛下は親孝行で有名だもの。皇太后様がお望みになれば陛下はその通りになさる。大朝会(だいちょうかい)の日でなければ今ごろここにいらっしゃるはず。あなたが不満なら皇太后様に直接言えば?」

舒妃(じょひ)は言いました。

「地蔵本願経は覚えたの?皇太后様の前で間違えたらもう二度と取り入れないわ。」

嘉妃(かひ)は舒妃(じょひ)に言いました。

「あなた!」

舒妃(じょひ)は怒りました。

「お静かになさいませ。誰のためであっても経を読めば徳を積むことになります。」

慶嬪(けいひん)は控えめな口調で舒妃(じょひ)をたしなめました。

瓔珞(えいらく)は二人のやりとりを聞いていました。

嫻皇后(かんこうごう)は経を献上しました。続いて妃嬪(ひひん)たちも献上しました。

皇太后は線香を遺影の前に立てました。

しばらくして順嬪(じゅんひん)が会場にやって来ました。

「私は皇太后様にご挨拶します。私が写経した地蔵本願経です。公主が浄土にお着きになれますように。」

順嬪(じゅんひん)は経を献上しました。

突然、花が燃え上がり順嬪(じゅんひん)は驚きました。

皇太后もびっくりしました。

「和安!和安!」

皇太后は動揺しました。

瓔珞(えいらく)はすぐに和安公主の遺影を取って皇太后に預けました。

袁春望(えんしゅんぼう)が水を持って来て火を消しました。

皇太后はとても動揺して薩満(サマン)にどういうことか尋ねました。

「公主様はこの世での生を終えられ現在は中陰におられます。皇太后様は公主の浄土への転生を信じて功徳をお積みになってこられました。そのおかげで二年で転生するところをこの妖魔が台無しにしました。仏花がおのずと燃えたのがその証拠です。」

薩満(サマン)は順嬪(じゅんひん)を指さしました。

「根拠が無いわ。」

順嬪(じゅんひん)は言いました。

「薩満(サマン)様。本当ですか?」

嫻皇后(かんこうごう)は尋ねました。

「私を疑うのですか?」

薩満(サマン)は言いました。

「道理に合わないわ。」

順嬪(じゅんひん)は言いました。

「皇后様。順嬪(じゅんひん)に情けは無用です。順嬪(じゅんひん)は妖しき美貌で陛下を惑わせました。人ではないかもしれません。」

嘉妃(かひ)は言いました。

「薩満(サマン)様は人ではないものと会話ができるそうです。疑いようがありませんわ。」

舒妃(じょひ)は言いました。

嘉妃(かひ)は令妃(れいひ)に考えを尋ねました。

「私はただの人です。想像だけではわかりません。」

瓔珞(えいらく)は答えました。

「フン。妖魔に味方するつもりね?皇太后様。よくお考えください。三十年の功徳が台無しになったのです。和安公主の転生は妖魔に邪魔をされたのです。ここで見逃してしまえば今後も災いが絶えません。」

嘉妃(かひ)は言いました。

「この者を捕らえよ!」

皇太后は正気を失っていました。

「皇太后様!身に覚えのないことでございます。これは陰謀でございます!何者かが薩満(サマン)様を買収して祭壇に細工したのです。仏花は燃えてしまい証拠がなくなりましたが薩満(サマン)様を尋問すれば明らかになります。」

順嬪(じゅんひん)はすぐに跪き釈明しました。

「薩満(サマン)様は皇太后様ですら敬意を払っておられるお方です。なんと無礼な。」

舒妃(じょひ)は言いました。

「陛下も頼れないわよ!」

嘉妃(かひ)は言いました。

「私は天に誓って妖魔ではありません。私は何もしていません。」

順嬪(じゅんひん)は言いました。

「連れて行きなさい!」

嘉妃(かひ)は言いました。

「私は何もしていません!私は血の通った人間です!」

順嬪(じゅんひん)は叫びました。

「待ちなさい。そなた。ついて来なさい。」

皇太后は順嬪(じゅんひん)の人相をじっくり調べました。

順嬪(じゅんひん)は皇太后の後に続いて行きました。

妃嬪(ひひん)たちは首をかしげました。

嘉妃(かひ)は嫻皇后(かんこうごう)に次の手を訪ねようとしましたが、嫻皇后(かんこうごう)は無辜(むこ)な振りを装いその場から去りました。

妃嬪(ひひん)たちは膝を曲げて嫻皇后(かんこうごう)を見送りました。

寿康宮(じゅこうきゅう)の皇太后の部屋。

皇太后は順嬪(じゅんひん)に四柱を尋ねました。

順嬪(じゅんひん)は九月十五日の子の刻だと答えました。

皇太后は順嬪(じゅんひん)を別の部屋に通すよう劉女官(りゅうにょかん)に命じました。


別の部屋。

劉女官(りゅうにょかん)は順嬪(じゅんひん)にしばらく待つように言いました。


皇太后の部屋。

瓔珞(えいらく)が部屋にやって来て皇太后になぜ順嬪(じゅんひん)を見逃したのか尋ねました。

皇太后は和安が病のときに各地の寺を訪ねて祈った時に「私の寿命の十年を捧げる」と誓いました。その時、皇太后は高僧に和安公主をこの世にとどめることはできないが体に刻めば来世で再び会えると告げられました。皇太后は和安の唇の下に二つほどの小さな刺し傷を付けたのでした。

皇太后は順嬪(じゅんひん)の唇の下に二つの傷痕があるのを見たのでした。

「皇太后様。転生などあり得ません。信じてはなりません。」

瓔珞(えいらく)は言いました。

皇太后は順嬪(じゅんひん)が和安と同じ日、同じ時刻に生まれたことは奇跡だと思っていました。

その時、乾隆帝が部屋に入り母に挨拶しました。

「母上。順嬪(じゅんひん)はどこですか?母上。薩満(サマン)のいう事を信じてはなりません。沈璧(ちんへき)は妖魔ではありません。」

乾隆帝は言いました。

「弘暦(こうれき)。そなたは薩満(サマン)様を巫女として敬いながら私に信じるなとは矛盾しているわ。」

皇太后は言いました。

「母上。朕が薩満(サマン)様を敬うのは胙肉(そにく)の儀式を任せて祖先の風習を踏襲するためです。建国の苦労を後世に伝えるためです。迷信を奨励するつもりはありません。沈璧(ちんへき)は妖魔ではなく普通のおなごであることを朕が保証します。」

乾隆帝は言いました。

瓔珞(えいらく)は皇帝に順嬪(じゅんひん)は安全なところにいると言いました。

乾隆帝は瓔珞(えいらく)に自分と皇后の離間策を講じているのか尋ねました。

瓔珞(えいらく)は順嬪(じゅんひん)を中傷していないと答えました。

皇太后も瓔珞(えいらく)を擁護しました。

「母上。このおなごは母上が思うほど善良ではありません。」

乾隆帝は言いました。

劉女官(りゅうにょかん)が順嬪(じゅんひん)を連れて来ました。

「沈璧(ちんへき)。近くへ来い。」

乾隆帝は命じました。

「もういいわ。誤解は解けたのだから薩満(サマン)様を責めないで。順嬪(じゅんひん)を連れて行きなさい。」

皇太后は浮かない表情で言いました。

順嬪(じゅんひん)は皇太后に土下座しました。

瓔珞(えいらく)は乾隆帝が順嬪(じゅんひん)の手を繋いでいる姿を見て傷つきました。

感想

瓔珞(えいらく)59話の感想です。嫻皇后(かんこうごう)は嘉妃(かひ)と舒妃(じょひ)と結託して乾隆帝の寵愛を受ける順嬪(じゅんひん)を排除しようとしたものの、瓔珞(えいらく)の知恵により順嬪(じゅんひん)は救われました。

皇太后は順嬪(じゅんひん)を見て娘の転生と信じたのかどうかはこの回だけではどうにもわかりません。

最後に乾隆帝が瓔珞(えいらく)のことを心の中で悪いことを企んでいるおなごと思っている場面が描かれていました。

瓔珞(えいらく)はその様子に多少なりともダメージを受けたようですね。

袁春望(えんしゅんぼう)は瓔珞(えいらく)を憎んでいるのに会話しているときは兄さんになっています。

本当は瓔珞(えいらく)のことが好きな袁春望(えんしゅんぼう) 。でもなぜだかどうしてか、今は大人しくなってますね。きっとまた後で何かやらかすのかもしれません。

順嬪(じゅんひん)の正体もまだわかりませんし、これからラストに向けてこの辺りの話題で盛り上がるのではないでしょうか。

関連コンテンツ

このブログの人気の投稿

瓔珞(えいらく)最終回70話 あらすじと感想 来世への誓い 傅恒(ふこう)は瓔珞(えいらく)を助けるため瘴気に犯され...中国ドラ

瓔珞(えいらく)最終回70話 来世への誓い 目次 [ あらすじ ] [ 感想 ] [ 関連記事 ] あらすじ 乾隆帝暗殺に失敗した和親王弘昼(こうちゅう)と嫻皇后(かんこうごう)。嫻皇后(かんこうごう)は騒乱の最中少しでも私の心配をしてくれたのかと皇帝に尋ねました。皇太后は皇后に下がって休むように言いました。珍児(ちんじ)も皇后に休んで欲しいと頼みました。 「私をご覧ください。髪は乱れ化粧は落ちてしまっています。赤く腫れたこの手は火の中に飛び込んだ証拠です。やけどを負って傷跡が残ろうと少しも痛くありません!夫を救うためだからです。あなたと生死を共にするつもりでした。この女(瓔珞)こそが謀反人なのです!陛下はご自分をお守りになるべきなのに侍衛(しえい)全員にこの女を守らせました。この女は陛下のために何もしませんでした。陛下を愛していません。愛するのは己のためだけ。何度も陛下を利用して来ました。陛下を愛さぬ者を大切になさるなんて!あなたは愚か者よ!違う。愚かなのは私。私は最も愚かで間抜けよ。」 嫻皇后(かんこうごう)は皇帝に訴えました。 瓔珞(えいらく)はあまりの痛々しさに目を伏せました。 弘昼(こうちゅう)は皇后に同情しました。 「皇后を連れて行け。」 乾隆帝は命じました。 「近寄るな!」 嫻皇后(かんこうごう)は懐刀を抜きました。 「何をするつもり?」 皇太后は驚きました。 「正気を失ったか。」 乾隆帝はつぶやきました。 「富察容音は陛下よりも自由を愛し、高貴妃(こうきひ)は高家を優先しました。純妃(じゅんひ)の心に陛下はおらず他の妃嬪(ひひん)たちは富に群がっているだけ!紫禁城で唯一私だけが陛下を想っているのよ!」 嫻皇后(かんこうごう)は叫びました。 「杭州の軍を手紙ひとつで動かしたくせに心を尽くしているだと?」 乾隆帝は言いました。 「杭州の軍だけではないわ。同行している江南の役人も私の手の者たちです。お父さまの死で権勢の大切さを実感し年月をかけて皇族や大臣や役人の秘密を調べさせました。不正を働き法を犯した者たちは皆私を恐れて従うほかなかったのです。陛下が崩御なさった後は私が第二の孝荘文皇后(こうそんぶんこうごう)になるつもりでした。」 嫻皇后(かんこうごう)は言いました。 「あなたは大逆罪に値するわ。後宮は政治に

袁春望(えんしゅんぼう)は実在したのか!?ドラマ瓔珞(えいらく)に登場する手練れの太監、最終回の謎に迫る!

袁春望(えんしゅんぼう) 袁春望(えんしゅんぼう) Youtube 動画 延禧攻略 42 より 中国ドラマ「瓔珞<エイラク>紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃」で登場回を重ねる度に存在感を増していく袁春望(えんしゅんぼう)とは一体何者なのでしょうか? ここでは物語の核心にまで迫っていますので、まだドラマをご覧になっていない方はこのページを閲覧しないほうがおすすめです。 目次 初回登場 瓔珞(えいらく)との出会い 瓔珞(えいらく)への執着 乾隆帝との関係 正体 執着から憎しみへ 憎しみの先には・・・ 結末 残された謎と考察 初登場 袁春望(えんしゅんぼう)はドラマに初めて登場するのは10話あたりです。 嫻妃(かんひ)が賄賂の資金を捻出するために侍女の珍児(ちんじ)の提案により太監長の趙慶(ちょうけい)を懐柔しました。趙慶(ちょうけい)は弟子の袁春望(えんしゅんぼう)を連れて神武門で密貿易するため嫻妃(かんひ)を待っていました。 しかし密貿易を試みたものの、高貴妃(こうきひ)が現れ嫻妃(かんひ)を虐げました。趙慶(ちょうけい)は罪を袁春望(えんしゅんぼう)になすりつけて逃げおおせたのです。 袁春望(えんしゅんぼう)は辛者庫(しんじゃこ)送りとなり永巷(えいこう)に肥溜めを運ぶ苦役を命じられました。 肥溜めに左遷された袁春望(えんしゅんぼう)は仲間だった太監たちにいじめられるようになりました。 袁春望(えんしゅんぼう)はやり返さずに耐えてました。 袁春望(えんしゅんぼう)は高貴妃(こうきひ)の犬の餌を盗み食いしたり、溝に落ちている食べ物を拾い食いしたり、雨水を飲んで命を長らえさせていました。 瓔珞(えいらく)との出会い 辛者庫(しんじゃこ)のもとに瓔珞(えいらく)が左遷されました。主人公が左遷された事情はネタバレになりますのでドラマを直接御覧ください。袁春望(えんしゅんぼう)が瓔珞(えいらく)と出会うのは28話あたりになります。 心も口も閉ざしている袁春望(えんしゅんぼう)に瓔珞(えいらく)があれこれと話しかけ、そして助けようとしたのです。 瓔珞(えいらく)と義兄弟に 袁春望(えんしゅんぼう)は瓔珞(えいらく)を自分と重ね合わせて同じだと

富察傅恒(ふちゃふこう)は清国乾隆帝の頃の大将軍で皇太子を支えた皇帝の義弟

富察傅恒(ふちゃふこう) 富察傅恒(ふちゃふこう)は1722年に生まれ、1770年に没した清王朝の大臣・軍人です。満州族出身の名門貴族です。乾隆帝の第一皇后、富察氏の実弟です。軍機大臣、大學士を務めました。 概要 侍衛(しえい)を経て内務府大臣、戸部尚書、軍機大臣、保和殿大学士を務めました。一等忠勇公を授かりました。皇太子を補佐する太子太保、太保を務めました。大金川の戦いで総指揮をとりました。乾隆帝からは文忠の号を贈られました。息子は嘉勇郡王に封じられました。 誕生 傅恒は満州族の名門、富察族に生まれました。 戦争 1747年~1749年 大金川の戦い(現在のアバ・チベット族チャン族自治州)。 1754年~1756年 内乱を鎮圧しました(現在のイリ・カザフ自治州)。 1768年~1769年 軍の最高司令官となりビルマへ侵攻し、戦に敗れて停戦を結びました。 逝去 ビルマへの遠征から戻り、北京でマラリアにかかって亡くなりました。 家族 父は李栄宝(りえいほう)です。 妻は那拉氏(ならし)です。 姉は乾隆帝の皇后、孝賢純皇后富察氏(こうけんじゅんこうごうふちゃし)です。 甥の 明瑞 は乾隆帝の義理の息子ですがビルマ征服に失敗し自害しました。 富察傅恒(ふちゃふこう)が登場するドラマ 瓔珞(えいらく)紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃 富察皇后(ふちゃこうごう)の弟として侍衛(しえい)という皇帝の護衛役で登場します。乾隆帝の弟、弘昼(こうちゅう)や海蘭察(ハイランチャ)の友人という設定です。性格や行動はとても真面目で仕事が終わった後は書斎で本を読んで兵法の勉強をしています。馬術はもちろん棒術にもすぐれ戦場での武勇は数知れず。そして身近にいる美女にも一切手を出さず生涯を通じて一人の女性を愛し抜いた男の中の男です。 関連記事 孝儀純皇后魏佳氏(こうぎじゅんこうごうぎかし)は乾隆帝の第三皇后 儲秀宮(ちょしゅうきゅう)の解説 全話あらすじ一覧 瓔珞<エイラク>紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃 ストーリーを詳しく解説! 参考: Wikipedia 中国 - https://zh.wikipedia.org/wiki/%E5%82%85