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瓔珞(えいらく)68話 あらすじと感想 悪魔の提言 弘昼(こうちゅう)は嫻皇后(かんこうごう)に謀反を唆し...中国ドラ

瓔珞(えいらく)68話 悪魔の提言

瓔珞(えいらく)68話 のあらすじと感想

目次

あらすじ

優しい第五皇子永琪(えいき)は皇后のために自分も江南の景色を見たく王府を出て南巡(南方いぇの視察)に随行したいと父に頼みました。永琪(えいき)は令貴妃(れいきひ)が言うには江南にいる葉侍医なら脚を治せるかもしれないと言いました。話を聴いた乾隆帝は永琪(えいき)も随行させることにしました。永琪(えいき)は皇后も連れて行って欲しいと頼みました。

第十二皇子永璂(えいき)は母の嫻皇后(かんこうごう)に会うと自分も母も南巡に随行できることになったと言って喜びました。袁春望(えんしゅんぼう)は孝行者の永琪(えいき)を褒めました。

「私が三刻跪いても父上はお赦しになりませんでしたが五兄上の一言で翻りました。ですから母上、五兄上のおかげです。感謝しなければ。」

永璂(えいき)が無邪気に言うと、嫻皇后(かんこうごう)の表情が険しくなりました。

「感謝しろと言うの?自分で説得できなかったくせに得意げになるとは。出てお行き!」

嫻皇后(かんこうごう)は冷たく言いました。

「母上。私は何か失礼なことをしたのでしょうか?」

永璂(えいき)は不思議に思うも皇后は皇子を追い出しました。

「母上は病と皆が言いますが本当に病のようですね!」

傷ついた永璂(えいき)は出て行きました。

「フン。わが子が三刻跪いても兄の一言にも及ばない。それなのに得意げにして愚かね。私たち母子など陛下にとってはどうでもいいのよ。それだけの存在なのよ。」

嫻皇后(かんこうごう)は勘違いをしていました。

御花園(ぎょかえん)。

六つ程の年頃の第十五皇子永琰(えいえん)は侍衛(しえい)をまこうと逃げ出しました。永琰(えいえん)は廊下で本を運んでいた太監とぶつかりました。太監は謝罪しながら永琰(えいえん)の袋から筆を盗んで自分の盆にあった筆とすり替えました。追いついた三人の侍衛(しえい)は永琰(えいえん)を連れて行きました。


御花園(ぎょかえん)の楼閣。

「私が間違っていました。心からお詫びします。ずっと納蘭(ナーラン)さんのことを尊敬していました。永琰(えいえん)を可愛いと思いながら今後は仲良く共に育てましょう。永琰(えいえん)は頂いた筆と硯をとても気に入ってます。筆硯(ひっけん)の収集を趣味にしている上書房(じょうしょぼう)の劉先生に見せるそうですよ。」

慶妃(けいひ)陸氏は盃を納蘭(ナーラン)氏に捧げました。

「私は陛下より永琰(えいえん)に会いたいくらいなのに害するなずないわ。これからは私を疑わないでちょうだい。赦さないわよ。」

舒妃(じょひ)は言いました。

「もちろん私が悪かったのです。もう致しません。林檎を剥いて差し上げますからそれでお赦しください。」

慶妃(けいひ)は謝りました。

舒妃(じょひ)も満足しました。

すると、女官が駆け付け第十五皇子が急病で延禧宮(えんききゅう)に戻ったと報告しました。

慶妃(けいひ)と舒妃(じょひ)は蒼白になり延禧宮(えんききゅう)に走りました。


延禧宮(えんききゅう)。

「あなたは焦っちゃだめ。まずは状況を伺いましょう。」

舒妃(じょひ)は慶妃(けいひ)の手を繋いで励ましました。

「令貴妃(れいきひ)。永琰(えいえん)に何があったの?朝は元気だったのにどうしたの?」

慶妃(けいひ)は慌てた様子で尋ねました。

舒妃(じょひ)は瓔珞(えいらく)に皇子の容態を尋ねました。

「侍医が言うには中毒になったそうよ。」

瓔珞(えいらく)は珍珠(ちんじゅ)に筆を出させました。

珍珠(ちんじゅ)は侍医が言うには筆に毒がしみこませてあり永琰(えいえん)が筆を舐めて中毒になったが劉先生がそれに気づいて筆を取り上げたと説明しました。

「何をしたの?永琰(えいえん)は私の宝よ!それを知りながらなぜ毒を盛ったの?

慶妃(けいひ)は舒妃(じょひ)に怒鳴りました。

「なんで私のせいになるのよ!私が皇子を害するはずないわ!」

舒妃(じょひ)は必死に釈明しました。

「あなたが贈った筆よ。他に誰がいるのよ!」

慶妃(けいひ)は怒りました。

「そうよ。私が贈った筆よ。高価で貴重な品よ。絶対に私ではないと天に誓うわ。本当よ!あ~。そうなの。あなたの子守が行き届かなかった責任を私に押し付ける気ね。あなたはそれでも母なの?私だったらこんな目に遭わせない!」

舒妃(じょひ)は左手を天に向けて誓うと慶妃(けいひ)に罪をなすりつけはじめました。

「私の見守りが足りなかったとしてもあなたを逃がさないわ。陛下の前で決着をつけてあげる!来なさい!」

慶妃(けいひ)は舒妃(じょひ)の手首を掴みました。

「何するの。私は関係ないわよ!」

舒妃(じょひ)は抵抗しました。

「やめて。永琰(えいえん)が目を覚ますわ。静かにして。慶妃(けいひ)。落ち着きなさい。」

瓔珞(えいらく)は言いました。

興奮した舒妃(じょひ)はその辺にあった椅子に座りました。

「入内してから長きを経て待望の子を持てたのに。永琰(えいえん)を害する者は赦さない!」

慶妃(けいひ)は怒っていました。

「あなたも落ち着いて考えなさい。筆の送り主が仕組んだら一番に疑われるに決まっているわ。誰かが私に罪を着せたのよ。そうよ。濡れ衣だわ!」

舒妃(じょひ)は言いました。

「他に誰があなたの筆に触れたと言うの?」

慶妃(けいひ)は冷静さを失っていました。

「最後皇子が怪我をして第四皇子は宗人府送りになった。永琰(えいえん)も消えたら?」

舒妃(じょひ)は言いました。

「お黙りなさい!永琰(えいえん)は健在よ。」

慶妃(けいひ)は言いました。

「たとえ話をしてるだけよ。第十五皇子もいなくなれば徳をするのは誰かしら。」

舒妃(じょひ)は言いました。

「第十二皇子よ!」

慶妃(けいひ)は大きな声を出しました。

「フン。第十二皇子よ。やるわね。一人一人と排除して私まで巻き込むなんて。陛下に直訴して皇后を訴えるわ!」

舒妃(じょひ)は立ちあがろうとしました。

「告発?証拠は?筆は証拠にならないわ。根拠もなしに皇后を追及するの?」

瓔珞(えいらく)は言いました。

「なっ。何もしないわけにはいかないじゃない。」

舒妃(じょひ)は言いました。

「瓔珞(えいらく)。確かに何もなかったことにはできないわ。」

慶妃(けいひ)は興奮して言いました。

「落ち着いて。これほど浅はかな手口は皇后の仕業とは思えない。」

瓔珞(えいらく)は言いました。

「動機があるのは皇后だけです。他に誰がいるというのです?」

慶妃(けいひ)は言いました。

「考えてみて。第五皇子、第四皇子、次は永琰(えいえん)。話ができすぎる。皇后がこんなに疑われやすいことをすると思う?」

瓔珞(えいらく)は言いました。

「魏瓔珞(ぎえいらく)。あなたはやられると怒って誰かれ構わずにやり返したのに、貴妃(きひ)になってからはずいぶん臆病になったわね。どんどん役立たずになっている。あなたがやらないなら私が訴えに行くわ。陛下がダメなら皇太后様にお知らせするわ。」

面子を潰された舒妃(じょひ)は言いました。

「舒妃(じょひ)。行ってはだめよ。舒妃!」

瓔珞(えいらく)は舒妃止めようとしました。

「フン。」

舒妃(じょひ)は自分の名誉のために訴える気満々で帰りました。

「皇后が暗殺に失敗するとしたらまた襲って来るの?」

慶妃(けいひ)は瓔珞(えいらく)に言いました。

寿康宮(じゅこうきゅう)。

舒妃(じょひ)が皇太后に訴えた後、嫻皇后(かんこうごう)が呼ばれて参内しました。

舒妃(じょひ)は皇后に挨拶して帰りました。

「あの時、容音を失った陛下は悲しみが深く次の皇后を立てなかった。そのため私が聡明で徳があり皇后の品格もあるそなたを推したのよ。」

皇太后が言うと、皇后は誇らしげな表情を浮かべました。

「皇太后様の格別のおはからいに感謝しています。」

嫻皇后(かんこうごう)は言いました。

「跪いて。」

「?!」

「輝発那拉(ホイファナラ)氏よ跪けと言っている!」

「私がどのような過ちを犯したのか皇太后様教えてください。」

嫻皇后は跪きました。

「そなたが本分を守りしっかり後宮を治めるならかつての報復を持ち出したりはしない。しかしそなたは皇后の座に怠けて第十二皇子を可愛がってばかりよ。皇后の座に飽き足らず皇太后の座を狙うの?」

「皇太后様。滅相もございません。誰の造言かはわかりませぬがこれは私を陥れる陰謀です。私はひたすら後宮を守り皇太后様にお仕えしてきました。」

「フン。人は足るを知らざるに苦しむ。既に隴を平らげてまた蜀を望む。そなたはここで跪き頭を冷やしなさい。」

「皇太后様。私が罪を犯したというなら釈明させてください。」

「覚えておきなさい。皇后には陛下の子を守る責務がある。今後皇子や皇女に害があれば誰の仕業だとしてもそなたの怠慢として罰する!」

怒った皇太后は別室に行きました。

嫻皇后(かんこうごう)は皇太后を憎みました。


密室。

「第十五皇子のことは皇太后様も陛下も誤解され皇后様が何を言っても無駄でした。もし皇后様の差し金だとしたら第五皇子を傷つけた後にやると思いますか?」

袁春望(えんしゅんぼう)は和親王弘昼(こうちゅう)に訴えました。

「盗人猛々しいとはこのことか。」

弘昼(こうちゅう)は袁春望(えんしゅんぼう)のいう事を信じました。

「令貴妃(れいきひ)です。」

袁春望(えんしゅんぼう)は言いました。

「猛虎も我が子を食わずと言うが、猛虎よりも酷い!第十五皇子を使い計略するとは!」

弘昼(こうちゅう)は憤りました。

「令貴妃(れいきひ)は皇后様を追い詰める気です。どうしたらよいでしょうか。」

袁春望(えんしゅんぼう)は小さな声で言いました。

「私が兄上に直訴しよう。」

弘昼(こうちゅう)は言いました。

「陛下が和親王の忠告に耳を貸すと?陛下は皇后様にお怒りゆえ第十二皇子は即位できず第十五皇子が即位すれば皇后母子を追放しますよ?」

「お前は何が言いたい。」

「かつての摂政王を覚えていますか?」

「不届きな!多爾袞(ドルゴン)のようになれと言うのか?反逆者だぞ。」

「声が大きいです。」

「お前のような不届き者は皇宮から追い出してやる!八つ裂きだ!」

弘昼(こうちゅう)は怒鳴りました。

「親王よ。私が謀反を企んでいるとここで叫べばよい。」

袁春望(えんしゅんぼう)は扉を開けました。

「お前!正気か!」

弘昼(こうちゅう)は扉を閉めました。

「今の話が誰かに知られたら私めは死んでも構いません。私はただの奴婢ですから。主が権力を握っても私は権力を握れず朝廷で策をめぐらせることもできません。和親王。私が危険を冒して忠告するのは自分のためではなく皇后様と和親王のためです。」

袁春望(えんしゅんぼう)は帽子を脱いで首をかしげました。

「ならぬ。絶対にならぬ。」

弘昼(こうちゅう)は動揺しました。

「私めが申し上げたいのはこれだけです。和親王はご自愛ください。和親王よ。アイシンギョロ家の勇者(バトゥル)になりたいか?それとも犬のままでよいのか?どうぞご自由に。」

袁春望(えんしゅんぼう)は部屋から出て行きました。

弘昼(こうちゅう)は机の角を握りしめました。


皇宮の一角。

富察(フチャ)傅恒(ふこう)は弘昼(こうちゅう)を呼びとめました。

「和親王。陛下は皇宮の外の者が太監と付き合うことは禁じているが?」

傅恒(ふこう)は弘昼(こうちゅう)に言いました。

「傅恒(ふこう)大人。勘違いしているようだ。第十二皇子に鸚鵡を贈ったので袁総管が礼をしただけだ。」

「果たして本当であろうか?次は掟通りに計らうのでそのつもりでいろ。」

「そういうお前は私に説教できる立場か?」

「何だと?」

「お前と令貴妃(れいきひ)の秘め事を誰も知らぬと思うか?」

「弘昼(こうちゅう)。口が過ぎるぞ。」

「どうした。図星か?暴かれたくない不都合なことでもあるのか?令貴妃(れいきひ)はお前など眼中にない。陛下に取り入りさらなる高みを目指している。」

「和親王こそ後ろめたいのでは?」

「なぜだ?」

「はじめは疑わなかったが怪しいぞ。承乾宮にいる鸚鵡は本当に第十二皇子に贈ったのか?隠すほどに怪しいぞ。怯えているのでは?」

「無礼な!」

弘昼(こうちゅう)は傅恒(ふこう)を殴ろうとしました。

「弘昼(こうちゅう)。宮中だぞ。命知らずだな。」

傅恒(ふこう)は弘昼(こうちゅう)の拳をかわしました。

「命知らずはどっちだ。」

弘昼(こうちゅう)は傅恒(ふこう)に殴りかかりました。

傅恒(ふこう)は弘昼(こうちゅう)を倒しました。

すると、そこに乾隆帝が通りがかりました。

弘昼(こうちゅう)は傅恒(ふこう)を蹴り倒しました。

「何をしている!」

通りがかった乾隆帝は二人を咎めました。

傅恒(ふこう)と弘昼(こうちゅう)は跪いて皇帝に挨拶しました。

「弘昼(こうちゅう)。ここをどこと心得る。あまりに勝手すぎる。」

乾隆帝は弘昼(こうちゅう)を叱りました。

「陛下。先ほどは手合わせに興じていたまでです。」

傅恒(ふこう)は咳き込みながら釈明しました。

弘昼(こうちゅう)はやり過ぎたと謝罪しました。

「傅恒(ふこう)。そちは軍機大臣(ぐんきだいじん)だ。公然とやり合うとは。半年の減俸だ。」

乾隆帝は傅恒(ふこう)に罰を与え、弘昼(こうちゅう)を不問としました。

養心殿の中。

「愛新覚羅(アイシンギョロ)家の手前そちを罰しなかったが今すぐ宗人府へ行け!」

乾隆帝は弘昼(こうちゅう)に命じました。

弘昼(こうちゅう)は自分は実の弟なのにと抗議しました。

「訥親(ナチン)を殴り、皇族を侮辱し、軍機大臣(ぐんきだいじん)を殴った。実の弟でなければ赦すものか!弘昼(こうちゅう)。朕は皇太后のもとで育ったお前を同腹と思い重んじて来た。だがお前は?和親王府で葬式ごっこをするだけならまだマシだ。近頃はあらゆる大臣を参列させ棺の上に乗って大笑いしているとは実にふざけておる。お前は心の内にある怒りや苦しみ、憎しみを吐き出し待遇が不公平だと皆に自慢したかったのか?」

乾隆帝は怒っていました。

「兄上。生前葬儀は遊びです。」

弘昼(こうちゅう)は釈明しました。

「お前の憂さ晴らしでは無いなら何だと言うのだ!それとも朕の臣下を調略するつもりか?」

「陛下。天に誓って出過ぎた真似をしていないと誓います!」

弘昼(こうちゅう)は右手を天に向けました。

「お前を弾劾する書状だ!朕の庇護がなければお前は!弘昼(こうちゅう)。お前は覚えておけ。これが最後だ。今度朕を怒らせたらお前を実の弟と思わぬ。」

「和親王弘昼(こうちゅう)は誓います。金輪際一切を慎みます!」

弘昼(こうちゅう)は土下座しました。


寿康宮(じゅこうきゅう)。

和親王弘昼(こうちゅう)は皇太后に会いました。弘昼(こうちゅう)は子どもの頃箪笥の中に隠れて皆が大騒ぎしていた思い出話を語りました。

皇太后は六歳の時で、あの時は生母も卒倒しそうだっとと笑いました。

弘昼(こうちゅう)は自分をかばって兄が罰を食らったと言いました。

「弘暦(こうれき)が身代わりになってもあなたのわんぱくは治らなかったわ。」

皇太后は言いました。

「楽しそうに何の話をしている?」

乾隆帝がやって来ました。

「和親王は皇帝陛下にご挨拶します。」

弘昼(こうちゅう)は跪いて頭を垂れました。

「兄弟なのに他人みたに振舞うとは。あまりに不自然だわ。」

皇太后は言いました。

「皇太后に会いに来るとは珍しいな。」

乾隆帝は椅子に腰かけました。

弘昼(こうちゅう)は答えませんでした。

皇太后は乾隆帝が弘昼(こうちゅう)を叱ったという話を弘昼(こうちゅう)から既に聞いて知っていました。

皇太后は皇帝に弘昼(こうちゅう)を赦すよう頼みました。

乾隆帝は反省しているのか弘昼(こうちゅう)に尋ねました。

弘昼(こうちゅう)はたとえ殺されても不当だと思わぬ過ちを犯したと謝りました。

皇太后は先帝から弘昼(こうちゅう)の面倒をよく見るように頼まれたことを忘れたのか皇帝に尋ねました。

乾隆帝は弘昼(こうちゅう)に以前のように仲良くしようと言いました。

弘昼(こうちゅう)は何巡に自分も随行して皇太后を守りたいと言いました。

乾隆帝は弘昼(こうちゅう)を内務府に手配に行かせました。

弘昼(こうちゅう)は部屋から出て行きました。

「母上。ご相談した件はお考えくださいましたか?」

「皇貴妃(こうきひ)は皇后の代理よ。皇后が健在なのに皇貴妃を立てるとは正しい事だと言えるかしら?」

「朕は、令貴妃(れいきひ)に後宮を任せたいと思います。」

「令貴妃(れいきひ)に後宮をしきらせるのに皇貴妃にする必要があるかしら?皇后は妃の頃から後宮をま束ねていたわ。弘暦(こうれき)。どうしたの?」

「永琪(えいき)と永琰(えいえん)が害されたのは皇后の目が行き届かぬからだと思います。朕は後宮を別の者に任せたいと思うのです。」

「永琪(えいき)のことを疑っているの?」

「証拠もないのに朕は疑いたくないが、皇后は病です。病人に後宮の管理は任せられません。」

乾隆帝が言いました。

「和親王?」

庭から劉女官が声を掛けました。

弘昼(こうちゅう)は幕の後ろで立ち聞きしていました。

「ああ。うっかり鼻煙壺(びえんこ)を忘れて行った。なぜ私が戻ると雰囲気が暗いので?」

弘昼(こうちゅう)が壺を取りに戻って来ました。

「そちは南巡で忙しかろう。もう行け。」

乾隆帝は弘昼(こうちゅう)を追い払いました。

「今度こそ本当に失礼します。」

弘昼(こうちゅう)は帰りました。

「皇貴妃(こうきひ)を冊立すれば皇后は名ばかりとなってしまう。臣下はどう思うかしら?民もどう思うことか。陛下。この件は慎重にならないと。」

皇太后は言いました。

「母上のおっしゃる通りです。南巡の後にもう一度話し合いましょう。」

乾隆帝は言いました。

承乾宮。

嫻皇后(かんこうごう)は鸚鵡を可愛がっていました。そこに袁春望(えんしゅんぼう)が表れ和親王の情報によると令貴妃(れいきひ)が皇貴妃(こうきひ)に立てられそうだと言いました。

「ダメよ。私という皇后がいながらなぜ皇貴妃を?」

嫻皇后(かんこうごう)は餌をつまむための挟みを床に落としました。

「建国以来、皇貴妃が建てられたのは董鄂(ドンゴ)氏を除いて二名だけです。それは貴妃(きひ)の病が癒えぬゆえ慰めるために皇貴妃(こうきひ)の称号を与えた例と、皇后が不在のため代理で皇貴妃(こうきひ)を立てた例だけです。皇后の在位中に皇貴妃(こうきひ)を立てるなどあり得ませぬ!陛下はさらに、皇后様は病ゆえ養生させる気です。皇后は名ばかりになります。そうなってしまえば臣下や民はどう思うでしょうか?皇后様が赦されぬ罪を犯したゆえ権力を剥奪されたと思います。」

袁春望(えんしゅんぼう)は嘘をつきました。

「冊封は?正式のな冊封はいつなの?」

嫻皇后(かんこうごう)は焦りました。

「南巡の後でございます。」

袁総管は言いました。

「袁春望(えんしゅんぼう)。和親王に連絡して。」

嫻皇后(かんこうごう)は伝言を頼みました。

「皇后様。もう猶予はありません。令貴妃(れいきひ)が皇后様にとってかわろうとしているのにためらっている暇はありません。」

袁春望(えんしゅんぼう)は大げさに言いました。

「とにかく今日中に会うと和親王に伝えてちょうだい。」

嫻皇后(かんこうごう)は袁春望(えんしゅんぼう)に命じました。

「御意!」

袁春望(えんしゅんぼう)は大きな声を出すと部屋から出て行きました。

「どうしてなの。弘暦(こうれき)。どうして私をこんなひどい目に!?どしてなの!」

嫻皇后(かんこうごう)はショックを受けました。


富察皇后が飛び降りた場所。

「私は名ばかりの皇后になったわ。助けてくれる?」

嫻皇后(かんこうごう)は駆け付けた弘昼(こうちゅう)に言いました。

「私は何をすれば?」

「この十年、私は後宮を守り大きな過ちも犯さなかったわ。陛下は私を遠ざけた挙句、皇貴妃(こうきひ)を立てるなどあってはならないわ。あなたは人も敬う和親王よ。皇貴妃(こうきひ)の冊立に皇族や重臣が反対すれば陛下も勝手な真似はできぬはず。」

「今でもまだ兄上に期待なさっているのですか?弘暦(こうれき)は強情ゆえ言っても聞かぬでしょう。だから倒すしかないかと思います。兄上にとってかわるのです。」

「何を言うの?聞かなかったことにするわ。」

嫻皇后(かんこうごう)は去ろうとしました。

弘昼(こうちゅう)は嫻皇后(かんこうごう)の袖を掴みました。

「あなたはずっと尽くして来た。戦って何が悪い。正当な権利を得るべきだ。」

「あなたは何をするつもり?」

「倒す。」

「あなたは正気を失っているわ。謀反を起こすつもり?」

「正気を失ったのは奴のせいです。南巡から戻れば、あなたは傀儡になるのですよ。遅かれ早かれそうなります。永璂(えいき)も。」

「皇位を継げなくても永璂(えいき)は皇子よ。」

「今の私が、未来の永璂(えいき)なのです。しかも私より酷い。淑慎(しゅくしん)。南巡は手を下すまたとない機会です。あなたと第十二皇子のために私が申したことをよくお考えください。」

弘昼(こうちゅう)が言うと嫻皇后(かんこうごう)は涙をこぼして動揺しました。


承乾宮。

嫻皇后(かんこうごう)は考え事をしながら茶を淹れていると茶碗があふれてしまいました。珍児(ちんじ)はこんな皇后様を見たのは初めてだと心配しました。

「先ほど急に再起する機会が巡って来たのよ。狭量は君子ならず。毒無きは丈夫にあらず。非常時には非常時の手段が必要ね。」

嫻皇后(かんこうごう)は呟きました。


夜の袁春望(えんしゅんぼう)の部屋。

珍児(ちんじ)は袁春望(えんしゅんぼう)の足を洗っていました。

「珍児(ちんじ)。何度も言っただろう。このようなことは下の者にやらせればいい。」

袁春望(えんしゅんぼう)は珍児(ちんじ)に言いました。

「やりたいの。」

珍児(ちんじ)は言いました。

「皇后様がそう言ったのか?」

袁春望(えんしゅんぼう)は珍児(ちんじ)の頬に優しく手を触れました。

「うん。皇后様は本当に和親王と手を組むご決心をなさったのかしら?」

珍児(ちんじ)は言いました。

「皇后様にはあなたの後押しが必要だ。皇后様の宝箱からある物を取り出して欲しい。」

袁春望(えんしゅんぼう)は言いました。

日中の紫禁城。

瓔珞(えいらく)は弘昼(こうちゅう)と偶然出会いました。瓔珞(えいらく)は傅恒(ふこう)に話しかけました。

「傅恒(ふこう)大人。いつもは出会っても会釈だけなのに今日は遠くから私を見つめいたわ。急用があるのね。」

瓔珞(えいらく)は言いました。

「戦地に行くことになった。」

「南巡は?」

「数日前に緬甸(めんでん)がもう捧(もうほう)を襲撃して十二版納(シプソンパンナー, 雲南の地名)を奪おうと思芧(しぼう)にまで迫りました。陛下はすぐに出征をお命じになり雲貴総督(うんきそうとく)の作戦に援軍を送ることになりました。明日出発します。」

「急な話ね。」

「貴妃(きひ)様にお話があります。和親王に警戒してください。数日前に殴り合ったのに今日はなぜか私を推薦した。」

「殴り合いとは?」

「袁春望(えんしゅんぼう)と密会しているところを私に見られ、後ろめたい和親王が先に手を出して来た。」

「わかったわ。警告に感謝します。傅恒(ふこう)大人。道中の無事と戦での勝利を祈ります。他に何かありますか?この数年の戦いでは見事に勝利なさっている。あなたを福を呼ぶ将軍と言う者も多いわ。陛下もあなたを褒めている。今回の戦いにもきっと勝利してよい知らせを待っているわ。」

「お言葉に感謝します。瓔珞(えいらく)。自愛せよ。」

傅恒(ふこう)は瓔珞(えいらく)を見送りました。

「小全子(しょうぜんし)。至急宮の外である者について調べてちょうだい。」

瓔珞(えいらく)は脇にいた小全子(しょうぜんし)に命じました。

「貴妃(きひ)様。南巡への出発は三日後です。今出たら間に合いません。」

小全子(しょうぜんし)は言いました。

「後で追いつけばいいわ。周りの者には重病の家族を見舞に帰ると言うのよ。」

瓔珞(えいらく)は言いました。

傅恒(ふこう)はさっそく知恵を巡らせた瓔珞(えいらく)を見て誇りに思いました。


三日後。


南巡の行列が紫禁城から出発しました。


乾隆帝と皇太后、皇后たちが乗った船は大河を下りました。

「皇后様。宴のお時間です。」

袁春望(えんしゅんぼう)は皇后に言いました。

感想

瓔珞(えいらく)68話の感想です。背後で袁春望(えんしゅんぼう)が何やらこそこそと動いているのですが、その動機がまったくわかりません。嫻皇后(かんこうごう)を助けるというよりもますます立場を悪くしているので、皇后のために動いているわけではなさそうです。袁春望(えんしゅんぼう)が瓔珞(えいらく)を直接害そうとしているわけでもなく、まずは防衛の薄い妃の皇子からといったところでしょうか。でもドラマの終わり当たりで袁春望(えんしゅんぼう)の本当の狙いがわかります。袁春望(えんしゅんぼう)は瓔珞(えいらく)への復讐をやめたのでしょうか。

嫻皇后(かんこうごう)はいつも他人のせいで立場を悪くしていく哀れな人です。そんな運命にブチ切れて悪い人になってしまったのですが、それでも運はさらに悪くなるばかり。本当に悪運に導かれるまま身を崩していくようなお人ですね。

弘昼(こうちゅう)の芝居はまるで嫻皇后(かんこうごう)に惚れているかのような振舞いです。演じる時にはそのように心がけているのかもしれません。もちろん弘昼(こうちゅう)にも妃がいるはずなんですけどね。そして乾隆帝が史実をもとにした弘昼(こうちゅう)の逸話を紹介しています。本当かどかはさておき、残る話数もあとわずかです。

瓔珞(えいらく)の出番もあと僅かです。

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瓔珞(えいらく)最終回70話 来世への誓い 目次 [ あらすじ ] [ 感想 ] [ 関連記事 ] あらすじ 乾隆帝暗殺に失敗した和親王弘昼(こうちゅう)と嫻皇后(かんこうごう)。嫻皇后(かんこうごう)は騒乱の最中少しでも私の心配をしてくれたのかと皇帝に尋ねました。皇太后は皇后に下がって休むように言いました。珍児(ちんじ)も皇后に休んで欲しいと頼みました。 「私をご覧ください。髪は乱れ化粧は落ちてしまっています。赤く腫れたこの手は火の中に飛び込んだ証拠です。やけどを負って傷跡が残ろうと少しも痛くありません!夫を救うためだからです。あなたと生死を共にするつもりでした。この女(瓔珞)こそが謀反人なのです!陛下はご自分をお守りになるべきなのに侍衛(しえい)全員にこの女を守らせました。この女は陛下のために何もしませんでした。陛下を愛していません。愛するのは己のためだけ。何度も陛下を利用して来ました。陛下を愛さぬ者を大切になさるなんて!あなたは愚か者よ!違う。愚かなのは私。私は最も愚かで間抜けよ。」 嫻皇后(かんこうごう)は皇帝に訴えました。 瓔珞(えいらく)はあまりの痛々しさに目を伏せました。 弘昼(こうちゅう)は皇后に同情しました。 「皇后を連れて行け。」 乾隆帝は命じました。 「近寄るな!」 嫻皇后(かんこうごう)は懐刀を抜きました。 「何をするつもり?」 皇太后は驚きました。 「正気を失ったか。」 乾隆帝はつぶやきました。 「富察容音は陛下よりも自由を愛し、高貴妃(こうきひ)は高家を優先しました。純妃(じゅんひ)の心に陛下はおらず他の妃嬪(ひひん)たちは富に群がっているだけ!紫禁城で唯一私だけが陛下を想っているのよ!」 嫻皇后(かんこうごう)は叫びました。 「杭州の軍を手紙ひとつで動かしたくせに心を尽くしているだと?」 乾隆帝は言いました。 「杭州の軍だけではないわ。同行している江南の役人も私の手の者たちです。お父さまの死で権勢の大切さを実感し年月をかけて皇族や大臣や役人の秘密を調べさせました。不正を働き法を犯した者たちは皆私を恐れて従うほかなかったのです。陛下が崩御なさった後は私が第二の孝荘文皇后(こうそんぶんこうごう)になるつもりでした。」 嫻皇后(かんこうごう)は言いました。 「あなたは大逆罪に値するわ。後宮は政治に

袁春望(えんしゅんぼう)は実在したのか!?ドラマ瓔珞(えいらく)に登場する手練れの太監、最終回の謎に迫る!

袁春望(えんしゅんぼう) 袁春望(えんしゅんぼう) Youtube 動画 延禧攻略 42 より 中国ドラマ「瓔珞<エイラク>紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃」で登場回を重ねる度に存在感を増していく袁春望(えんしゅんぼう)とは一体何者なのでしょうか? ここでは物語の核心にまで迫っていますので、まだドラマをご覧になっていない方はこのページを閲覧しないほうがおすすめです。 目次 初回登場 瓔珞(えいらく)との出会い 瓔珞(えいらく)への執着 乾隆帝との関係 正体 執着から憎しみへ 憎しみの先には・・・ 結末 残された謎と考察 初登場 袁春望(えんしゅんぼう)はドラマに初めて登場するのは10話あたりです。 嫻妃(かんひ)が賄賂の資金を捻出するために侍女の珍児(ちんじ)の提案により太監長の趙慶(ちょうけい)を懐柔しました。趙慶(ちょうけい)は弟子の袁春望(えんしゅんぼう)を連れて神武門で密貿易するため嫻妃(かんひ)を待っていました。 しかし密貿易を試みたものの、高貴妃(こうきひ)が現れ嫻妃(かんひ)を虐げました。趙慶(ちょうけい)は罪を袁春望(えんしゅんぼう)になすりつけて逃げおおせたのです。 袁春望(えんしゅんぼう)は辛者庫(しんじゃこ)送りとなり永巷(えいこう)に肥溜めを運ぶ苦役を命じられました。 肥溜めに左遷された袁春望(えんしゅんぼう)は仲間だった太監たちにいじめられるようになりました。 袁春望(えんしゅんぼう)はやり返さずに耐えてました。 袁春望(えんしゅんぼう)は高貴妃(こうきひ)の犬の餌を盗み食いしたり、溝に落ちている食べ物を拾い食いしたり、雨水を飲んで命を長らえさせていました。 瓔珞(えいらく)との出会い 辛者庫(しんじゃこ)のもとに瓔珞(えいらく)が左遷されました。主人公が左遷された事情はネタバレになりますのでドラマを直接御覧ください。袁春望(えんしゅんぼう)が瓔珞(えいらく)と出会うのは28話あたりになります。 心も口も閉ざしている袁春望(えんしゅんぼう)に瓔珞(えいらく)があれこれと話しかけ、そして助けようとしたのです。 瓔珞(えいらく)と義兄弟に 袁春望(えんしゅんぼう)は瓔珞(えいらく)を自分と重ね合わせて同じだと

全話あらすじと登場人物一覧 瓔珞<エイラク>紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃 ストーリーを詳しく解釈して感想を書きました!

瓔珞<エイラク>紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃 あらすじ一覧と解説 目次 [ 概要 ] [ 登場人物/キャスト ] たくさんいる登場人物を整理しました。 [ あらすじ解説 ] 完全にネタバレしています。 [ 各話あらすじ ] 詳しい内容の解説です。 [ 人間関係の解説 ] [ 歴史解説 ] [ 主張内容 ] ドラマを分析しています。 [ 視聴感想 ] 概要 「瓔珞<エイラク>紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃」は2018年に放送された中国ドラマです。 背景 清王朝が物語の舞台です。満州族が支配権を握っており漢民族は権力の中枢から遠ざけられていました。満州族出身の乾隆帝が即位したのが1735年なので、物語の舞台は傅恒(ふこう)の年齢から推測すると1740年前後と考えられます。 主な登場人物 魏瓔珞(ぎえいらく=ウェイ・インロー) このドラマの主人公。漢民族出身。1月10日に姉の瑛寧(えいねい)が皇宮で殺され復讐を決意して女官となる。ずる賢い。愛の成就や自分の幸せよりも忠義心ゆえの復讐を選ぶことでのし上がっていく。 呉謹言(ウー・ジンイェン, 1990年生まれ)が演じる。2018年放映時には28歳あたり。 乾隆帝(けんりゅうてい)愛新覚羅(アイシンギョロ)弘暦(こうれき) 清王朝の皇帝。決断が早いが賢くはない。傅恒(ふこう)よりも気が短い。従者の名前は李玉(りぎょく)。精神的に幼く自分の気持ちすら理解していない。ゆえに他者の気持ちを解する能力に欠ける。後宮の女性たちとは愛を持って接するのではなく本能のはけ口または政治的な恩寵として関係を持っている。富察皇后との関係についても皇后だから皇后として丁寧に接し愛してやって大事にしているが、本人はまったくそのことに気づいていない。 聶遠(ニェ・ユェン, 1978年生まれ)が演じる。2018年放映時には40歳あたり。 富察皇后(ふちゃこうごう=フチャ・ロンギン) 乾隆帝の正室。1話の時点で乾隆帝の子を失い悲嘆に暮れている。大人しく温厚でも心の中は意外と熱い。すべてのおなごの模範を演じることを強いられている。責任感が強い。侍女の名前は爾晴(じせい)と明玉(めいぎょく)。他に珍珠(ちんじゅ)、翡翠らを従えている。自らを縛らなければ生きていけない可哀そうな女。皇帝のこ